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亡き恩師がベンチで「見守ってくれている」 高校バスケの“絶対女王”桜花学園、名将への思いを背負った教え子の涙

笑顔を見せる桜花学園の選手たち【写真:山田智子】
笑顔を見せる桜花学園の選手たち【写真:山田智子】

「ディフェンスを頑張ったら、必ず流れが来る。神様は見ている」

 優勝までの道のりは平坦ではなかった。3回戦の大阪薫英女学院戦は第3クォーターまで僅差ながらリードされる展開。それでも粘り強く追随し、最終Qで逆転して74-69で勝利。準決勝の精華女子高校戦も残り5分で逆転して辛勝した。

 苦しい試合を一つひとつ乗り越えることで、「選手たちが化けていった」と白コーチは選手たちの成長に目を細める。「うちはディフェンスが強いチーム。ディフェンスを頑張ったら必ず流れが来る。神様は見ているから」と白コーチは言い続け、実際にディフェンスから勝利を呼び込んだ成功体験を重ねることで選手たちは自信を深めていった。

 迎えた決勝の相手は日本航空北海道。3連覇中の京都精華学園、昨年準優勝の岐阜女子と、強豪校を次々に撃破して勝ち上がってきた。桜花学園は立ち上がりからアグレッシブなディフェンスで相手の強みを封じ、前半を16点リードして折り返す。後半に入り、得点が伸ばせず苦しむも、ディフェンスで我慢し、63-59で粘る日本航空北海道を振り切った。

「この数年、桜花学園は競った試合で勝てなかったり、勝負どころで相手に流れを持っていかれたりする展開でずっと苦しんできました。それを打破できたのは、(岐阜女子に劇的なブザービーターで逆転勝利した)東海大会の決勝だったと思います。最後の最後まで粘って、ディフェンスを頑張れば勝てるということが選手の自信になりました。

 今大会を通しても、大崩れすることなく、『苦しいときこそディフェンスだ』という認識を全員が持てていました。それを選手たち同士で声掛けをして、みんなで目を合わせて『そうだね、そうだね』と意思疎通し続けられたことが今大会の大きな勝因じゃないかと思います」

 白コーチによると、現在のチームでは「ディフェンスの練習には一番力を入れている」そうだ。白コーチが「うちのトップディフェンダー」と信頼する山田桜来(3年)も「今年は身長が小さいこともあって、これまでのディフェンスの基礎的な練習に加え、ゲームライクなディフェンスの練習が増えている」と語る。

「どちらかと言うとオフェンスが好きな選手が多いのですが、その選手たちがディフェンスも頑張れるようになってきたことは大きな成長」(白コーチ)と積み重ねてきたことが花開いた。

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山田 智子

愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。

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