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亡き恩師がベンチで「見守ってくれている」 高校バスケの“絶対女王”桜花学園、名将への思いを背負った教え子の涙

バスケットボールの全国高校総体(インターハイ)は1日、岡山市の会場で男女ともに決勝が開催された。女子は桜花学園(愛知)が日本航空北海道(北海道)に63-59で勝利を収め、4年ぶり26度目の優勝を果たした。

4年ぶり26度目の優勝を果たした桜花学園【写真:山田智子】
4年ぶり26度目の優勝を果たした桜花学園【写真:山田智子】

インターハイ・バスケットボール女子

 バスケットボールの全国高校総体(インターハイ)は1日、岡山市の会場で男女ともに決勝が開催された。女子は桜花学園(愛知)が日本航空北海道(北海道)に63-59で勝利を収め、4年ぶり26度目の優勝を果たした。

 彼女たちには、負けられない理由があった。

 通常は監督が座るベンチの一番端の椅子。桜花学園高校の“監督席”には、1枚の写真とスヌーピーのぬいぐるみが置かれていた。試合開始前、桜花学園の白慶花コーチはスヌーピーの頭を優しく二度、ポンポンと触った。

「あのスヌーピーは井上先生なんです。練習のときも体育館に持って行きます。試合前、先生に『行ってきます』と話しかけて、少しパワーをもらいました。ここで先生と一緒に戦っているし、先生も見守ってくれていると思います」

 井上先生とは、昨年12月31日に亡くなった桜花学園の前コーチ、井上眞一氏のこと。名古屋短期大学付属高校時代から長年にわたり桜花学園を率い、インターハイ25回、国体(現・国スポ)22回、ウインターカップ24回の計71度の全国制覇を成し遂げた名将だ。高田真希や渡嘉敷来夢、馬瓜ステファニー、田中こころなど、多くの日本代表を輩出している。

 現在桜花学園を指揮する白コーチも井上氏の教え子だ。2022-23シーズンまでWリーグでプレー。現役引退後、母校のアシスタントコーチとなり、井上氏をサポートしてきた。

 マネージャーが作ったというスヌーピーのピンク色の洋服には、井上氏が好きだった数字がフェルトで貼られている。「5501、こうこういちばん(高校一番)、です」(白コーチ)。

 高校女子バスケの絶対女王として君臨してきた桜花学園だが、この3年は夏のタイトルから遠ざかっている。思うような成績が残せない中で、名将が逝去。選手・スタッフ全員が喪章をつけて戦うインターハイは、王座奪還、そして「井上氏亡き後の桜花は大丈夫か」という声を払拭するためにも、絶対に負けられなかった。

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山田 智子

愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。

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