関東制覇の横浜エース、2回降板から“たった1日”で復活の裏側 応援皆勤の母へ届けた「ふがいなかった…」
滋賀から横浜の試合に通う母へ「少しでも長く…」
「ふがいなかったから明日は頑張るわ」
奥村頼は浦和実との準決勝を終えた3日夜、家族のグループLINEにこう送ったという。両親は地元の滋賀に住む。母のいつ子さんは「来年の今頃には引退しているから」と、息子の雄姿を目に焼き付けるために、車や新幹線を駆使してスタンドへ足を運び続ける。今大会の3試合も“皆勤賞”だ。
東農大二との準々決勝では、後輩の織田翔希(1年)が完封。やっと出番が訪れた準決勝でのパフォーマンスは、恥ずかしさが先に立った。「やっぱり応援してくれていたので、あんな姿を見せて申し訳ないと思った」という思いからの行動も早かった。準決勝を終えて寮に戻ると、コーチとすぐにキャッチボール。「メディシンボールを使って体の使い方のトレーニングをしたり、刺激を入れたりして、体をしっかり使えるように」と、できることに最大限トライした結果の好投だった。
奥村頼は両親への思いを問われると「勝つことが一番喜ぶと思うので、勝って少しでも長く試合を見せられるように」とはにかむ。この秋の横浜は、チームとして明確な目標を立ててきた。第1章が県大会制覇、第2章が関東制覇。そして第3章は神宮制覇だ。
すぐに、関東代表として出場する明治神宮大会(11月20日開幕)がやってくる。まだまだ両親に試合を見せられるチャンスがある。来春の選抜甲子園出場も決定的だが「選抜は1回置いといて、神宮制覇に向けて、もう一度しっかりやっていきたいと思います」。チームのため、家族のため。横浜の背番号1は第3章に向け、また歩みを進める。
(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)