「逆転の東海大相模」対策がズバリ 吠えまくりの山梨学院・坂東慶寿が証明した“令和流”の勝ち方
第77回秋季関東高校野球大会は27日、横浜市のサーティーフォー保土ヶ谷で1回戦2試合を行った。山梨学院(山梨)は延長10回タイブレークの末、6-5で東海大相模にサヨナラ勝ちし、準々決勝へ進出した。前半は山梨学院が着々と加点し、有利に試合を進めたものの、9回2死から同点に追い付かれ延長へ。相手に傾きかけた流れを食い止め、勝利へのきっかけを作ったのは、東海大相模対策として急きょベンチ入りした背番号17、坂東慶寿投手(2年)だった。
大会直前のメンバー変更…急きょ加えたサイドスローが流れ変えた
第77回秋季関東高校野球大会は27日、横浜市のサーティーフォー保土ヶ谷で1回戦2試合を行った。山梨学院(山梨)は延長10回タイブレークの末、6-5で東海大相模にサヨナラ勝ちし、準々決勝へ進出した。前半は山梨学院が着々と加点し、有利に試合を進めたものの、9回2死から同点に追い付かれ延長へ。相手に傾きかけた流れを食い止め、勝利へのきっかけを作ったのは、東海大相模対策として急きょベンチ入りした背番号17、坂東慶寿投手(2年)だった。
5-5で迎えた延長10回、1死一、二塁からリリーフした坂東は「9番・投手」の福田拓翔(2年)と「1番・二塁」の柴田元気(2年)から連続三振を奪った。サイドスローから1球投じるたびに目をまんまるに見開き、気合いをむき出しにする姿が印象的な右腕。コーナーギリギリを襲う得意のスライダーに、東海大相模は手が出なかった。
この夏、数々の逆転劇で神奈川大会を制し、甲子園まで進んだ東海大相模に、山梨学院は流れを奪われかけていた。9回2死、2ストライクから追いつかれ、スタンドも熱狂。そこで場内の空気を再びつかみとるような快投が飛び出した。大仕事を成し遂げた坂東はマウンドで吠え、ラインを越えるともう一度吠えた。まるでベンチに勢いを伝えるかのような、魂の叫びだった。
チームがその裏サヨナラ勝ちし、準々決勝進出を決めただけに喜びもひとしおだ。ただ試合後は冷静に言葉をつむぐ。「感情的になると結構やっちゃうんです。絶対に抑えたいところを、三振という一番いい形で抑えられたので……」と頭をかく。
坂東がベンチ入りをつかんだのは大会直前。負傷者が出たための登録変更だった。ただ吉田洸二監督には、坂東でなくてはならない理由があった。「東海大相模はストレートに強いんで、まともに上から投げても通用しない。それだったら……」。変則投手をゲームチェンジャーにしたいという、狙い通りの起用に応えた。
坂東がサイドスローにしたのは今年2月のこと。「もともと上から投げていたんですけど、打ちやすいと言われて。だったら変えてみようと」。少し腕を下げての横回転がハマった。最初からこのフォームだったかのように、すんなり転向できたという。
この試合、山梨学院は先発の藤田蒼海投手(2年)が4回2/3を1安打無失点に抑えたのをはじめ、6人の投手リレーでつないだ。吉田監督は「藤田がなんとか試合をつくってくれましたが、東海大相模くらいの打線になってくると2巡目、3巡目は必ず合わせてくる。だったら6人、7人とつぎ込むのもあり」と、最初から投手を総動員するゲームプランを立てていた。
高校野球に投球制限が導入されたことで、強豪校は複数の投手を擁して戦うのが当たり前となった。一方で吉田監督は、別の狙いも口にする。「今は中学時代にあまり投げていない投手も多いんです。選手は試合に出て育つ。だったらこぢんまりさせないために、こういう育て方もありだと思っているんです」。2022年に優勝するなど、この大会3年連続で決勝に進出している山梨学院。磐石の備えで頂点を目指す。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)