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「倍返しするんだ」 偏差値73の湘南が1年間唱えた“打倒・横浜” リベンジならずも敵将から賛辞

盛り上がる湘南ベンチ【写真:山野邊佳穂】
盛り上がる湘南ベンチ【写真:山野邊佳穂】

昨夏の大敗から1年…粘り強い戦いには横浜監督も脱帽

 だからこの夏、政近が抽選会で引いたくじは願ってもないものだった。「対戦できることになって燃えていた」と、気合十分で照準を合わせてきた。

 雪辱を果たすことはできなかったが、先発の寺村聡一郎投手(3年)は、5回までソロ本塁打の1失点に抑えた。さらにスローガンの意味にある「積み重ね」を体現するかのように、湘南ナインは堅い守備でアウトを重ねた。

 1回1死一塁では横浜のスーパー1年生、「3番・右翼」の小野舜友を遊ゴロ併殺に封じた。3回1死二塁では「1番・中堅」の阿部葉太(2年)の右直で飛び出した一走の峯大翔(3年)を好判断で刺した。横浜の村田浩明監督に「すごく苦しい試合だった」と言わしめるほどの戦いを見せた。

 湘南が誇る伝統は、横浜以上ともいえる。創部4年目の1949年、夏の甲子園で神奈川県勢として初優勝した歴史があり、偏差値73と県内屈指の進学校。部員は学校以外にも予備校に通いながら、放課後と朝の練習をこなしてきた。

 政近がナインの思いを代弁する。「結果が出ない時も下を向かずに『倍返しするんだ』とやってきた」「ここは夢のような舞台。一瞬一瞬を忘れないように心がけていた」。勉強以上に全力で野球に向き合ってきた。大ファインプレー直後の笑顔が、試合後は涙に変わった。それでも「打倒・横浜」を掲げて駆け抜けた1年間は決して色あせない。

(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

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