川崎北に勝利呼んだ“7人の女子マネ” 算出してきた貢献ポイントでナイン進化「100点満点」
第106回全国高校野球選手権・神奈川大会は8日、川崎市の等々力球場で1回戦を行い、川崎北が3-1で川崎工科に競り勝った。同校の女子マネジャーは実に7人を数える。3年生の2人を中心に、昨秋から取り組み始めた「攻撃貢献ポイント」が、この1勝に一役買った。8回に2点をもぎ取り、接戦を制したナインには「100点満点」と規格外のポイントを贈り、大喜びだ。
第106回全国高校野球選手権・神奈川大会
第106回全国高校野球選手権・神奈川大会は8日、川崎市の等々力球場で1回戦を行い、川崎北が3-1で川崎工科に競り勝った。同校の女子マネジャーは実に7人を数える。3年生の2人を中心に、昨秋から取り組み始めた「攻撃貢献ポイント」が、この1勝に一役買った。8回に2点をもぎ取り、接戦を制したナインには「100点満点」と規格外のポイントを贈り、大喜びだ。
日々の成果を見せつけた。7回まで1-1の同点と緊迫の展開。8回無死一塁から「4番・投手」の枦田陽太(2年)が右中間へ決勝二塁打を放ち、熱戦にケリをつけた。記録員としてベンチ入りした朝倉苺マネジャー(3年)と、スタンドから声援を送った川井永遠マネジャー(3年)は「結構ハラハラした」と振り返ったが、夏の勝利をつかんだナインには「100点満点」と笑顔を見せた。
点数をつけるのはお手のものだ。川崎北の女子マネジャーは7人と大所帯。2人の3年生を中心に、投球と打撃をポイント化して記録。選手に伝えることで、活躍を後押ししている。
川崎北は現在、校舎の耐震工事でグラウンドに仮設校舎が設置されている。狭いスペースでは実戦練習が十分に積めない。打撃と守備をみっちり練習しても、その先になかなか進めなかった。「得点につなげなければ意味がない。以前までは出塁や盗塁することで終わってしまっていた」と川村太志監督は振り返る。
貪欲に先の塁を狙ってほしい――。そんな思いでマネジャーに託した取り組みが、昨秋から始めた「打撃貢献ポイント」の算出だ。打席結果によってプラス、マイナスをつけ、試合ごとの平均を出す。安打だけでなく、得点へ近づく犠打や進塁打も高く評価される。試合ごとに選手が自身でチームへの貢献度を確認できるため、部員たちの意識も高まった。
日々の成果は、大事な夏の初戦でも表れた。勝ち越した8回にも、実は地味なプレーが高く評価されている。枦田の二塁打で勝ち越した後、「5番・左翼」の戸川虎士(3年)が二ゴロで走者を三塁に進め、続く引間椋介捕手(3年)が投前にスクイズを決めて追加点をもたらした。戸川は「最低セカンドゴロという気持ちで打った。いかに進塁打や四球を選べるかというのが大事。(ポイント制を)やってきてよかった」と胸を張る。
朝倉はポイントの計算や集計を続けてきたこの1年を「最初は『大変だな』と思ったけど、みんなのためなら全然大丈夫でした」と振り返る。この日の良かったポイントは、口を揃えて「バントを決めてくれたところ」。ひたむきに次の塁を狙うナインの意識に“はなまる”を送った。
「本当に仲が良い」とマネジャーも胸を張る15人の3年生。今春は地区予選敗退で悔しさを味わったが、接戦を制し勢いもついた。熱い夏はまだ終わらせない。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)