「ずっと好きだから」3年生15人の思いを乗せた76秒間 川崎北の佃陵汰が選手宣誓で貫いた“野球愛”
第106回全国高校野球選手権・神奈川大会の開会式が5日、横浜スタジアムで行われた。出場168チームの選手が行進したのち、選手宣誓を務めたのは川崎北の佃陵汰主将(3年)。部員15人の思いを乗せて選んだ「ずっと好きだから」という言葉を、猛暑の青空に響かせた。1回戦は7日から行われる。
神奈川大会開会式で大役「100点満点です」
第106回全国高校野球選手権・神奈川大会の開会式が5日、横浜スタジアムで行われた。出場168チームの選手が行進したのち、選手宣誓を務めたのは川崎北の佃陵汰主将(3年)。部員15人の思いを乗せて選んだ「ずっと好きだから」という言葉を、猛暑の青空に響かせた。1回戦は7日から行われる。
76秒間に、ありったけの思いを込めた。午後4時開始にも関わらず、気温34度近い猛暑の中で行われた開会式。佃はチームメートの思いも乗せ、内野スタンドが埋まった横浜スタジアムで堂々と宣誓した。大役を終えると、白い歯を覗かせて振り返った。「100点満点。緊張していたけど、終わってみると楽しかった」。プレーの前にまず、大仕事を終えた。
6月8日の組み合わせ抽選会で、宣誓の当たりくじを引いてから1か月。つむいだ言葉には、苦楽をともにしてきた3年生15人の思いが込められている。2、3週間前から伝えたい言葉を出し合い、文章にしていった。1人1つとまではいかなかったが、「これは絶対に入れたいよね」などと話し合い、一言一句にこだわった。
「ずっと好きだから続けてこられた高校野球」という言葉は、佃自身が選んだ。4人組ロックバンドの「ねぐせ」が歌う、テレビ番組「熱闘甲子園」のテーマソング「ずっと好きだから」から言葉を借りて、野球への思いを真っ直ぐに表現した。川村太志監督の口ぐせ「一生懸命が一番かっこいい」も入れて完成した。
これまで、大勢の前で話す経験がなかったという主将は、大役を任され自覚が増したという。「より注目されると思うので、そこで恥ずかしいプレーはできない」と、試合にも好影響がありそうだ。
本当の戦いはここからだ。野球の魅力を「いつでも逆転できること」と語る佃が率いる川崎北は、8日に川崎工科との1回戦を迎える。県16強を目指す最後の夏は「見ている人たちを楽しませるプレーをしたい」。野球が好きだから、一生懸命に、カッコよく。神奈川の高校球児を代表して伝えた思いを、今度はプレーで体現する。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)