神戸弘陵初の女子マネも涙 ゼロから始まった平井里青の3年間、支えは選手からの「ありがとう」【高校サッカー】
第102回全国高校サッカー選手権は2日、神奈川・等々力陸上競技場で3回戦が行われ、第2試合は神戸弘陵(兵庫)が神村学園(鹿児島)に1-2で敗れた。全国の舞台で最後まで諦めず戦い抜いた神戸弘陵の応援席では、同校初の女子マネージャーとなった平井里青(りお・3年)さんも涙を流した。
中学2年時に神戸弘陵の試合を見て決意
第102回全国高校サッカー選手権は2日、神奈川・等々力陸上競技場で3回戦が行われ、第2試合は神戸弘陵(兵庫)が神村学園(鹿児島)に1-2で敗れた。全国の舞台で最後まで諦めず戦い抜いた神戸弘陵の応援席では、同校初の女子マネージャーとなった平井里青(りお・3年)さんも涙を流した。
3年間の青春が幕を閉じた。終盤に何度もチャンスを演出し、最後まで攻め続けた神戸弘陵イレブン。試合終了のホイッスルが鳴り響くと、両チームの選手がピッチに倒れ込む、そんな熱闘だった。仲間の雄姿をスタンドから見守った平井さんも、チャンスではメガホンを思いっきり叩き、惜しい場面では頭を抱えて悔しがった。80分間、真剣な眼差しで声援を送り続けたが、最後はタオルで顔を覆って涙した。
「チームの一体感があって、応援もすごくてかっこいい」。中学2年時にテレビ観戦し、神戸弘陵の虜になった。野球好きの父の影響もあり、それまでサッカーとは無縁。最初はルールも十分に知らなかったが、沸き立つ感情は抑えられなかった。
サッカー部がマネージャーを置いていないことを知りながらも受験し、合格。入学式の翌日、谷純一監督に直談判してマネージャーとしての入部を許された。試合結果などの記録、アイシングの準備、ボール拾い、ユニホームの整理整頓など仕事は様々。平日の2時間半の練習では休む間もなく、部員のために働いた。
念願叶っての部活動だったが、マネージャーの前例がなく全てが初めて。最初は選手とのコミュニケーションの取り方も分からなかった。頼れる先輩もおらず、誰とも話さず帰宅する自分が嫌で「家で泣いてしまったこともある」と振り返る。それでもグラウンドに通い続けたのは、選手からの「ありがとう」に何よりも喜びを感じたからだ。
試合終盤から流し続けた涙は、本気で走り抜けた3年間の証しだった。これで引退。次の夢は、航空系の仕事に就くことだ。「(進学先では)語学を学びたい」。どんな道に進んでも、ゼロから作り上げたマネージャー生活が活きるに違いない。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)