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3年間の大半をBチームで過ごした不屈の男 前橋育英FW織茂誠太郎、初の全国で戦友に届ける雄姿

第102回全国高校サッカー選手権は29日、各会場で1回戦が行われ、ニッパツ三ツ沢球技場第1試合は前橋育英(群馬)が立正大淞南(島根)に3-1で勝利し、2回戦進出を決めた。次戦は神戸弘陵(兵庫)と対戦する。後半29分から出場したFW織茂誠太郎(3年)は、初の全国の舞台で貪欲にボールを追い、ともに過ごした仲間へ雄姿を届けた。

後半29分からピッチに立った前橋育英MF織茂誠太郎【写真:山野邊佳穂】
後半29分からピッチに立った前橋育英MF織茂誠太郎【写真:山野邊佳穂】

前橋育英が立正大淞南に3-1で勝利

 第102回全国高校サッカー選手権は29日、各会場で1回戦が行われ、ニッパツ三ツ沢球技場第1試合は前橋育英(群馬)が立正大淞南(島根)に3-1で勝利し、2回戦進出を決めた。次戦は神戸弘陵(兵庫)と対戦する。後半29分から出場したFW織茂誠太郎(3年)は、初の全国の舞台で貪欲にボールを追い、ともに過ごした仲間へ雄姿を届けた。

 高校生活、最初で最後の全国大会を味わった。「控室から出た時の雰囲気が全然違った」。織茂に出番が訪れたのは3-1で迎えた後半29分。勢い良くピッチに飛び出した背番号19は相手に倒されてもすぐに起き上がった。これまでの鬱憤を晴らすように最前線でアディショナルタイムを含め14分間、貪欲にボールを追い続けた。

「悔いのないようにやり切りたい」。日の当たらない時間を過ごしてきたからこそ、その思いは人一倍強い。3年間の大半をBチームで過ごした。1年前は故障で手術も経験。Aチームに関われない日々が続いたが、腐ることはなかった。全体練習が終わっても毎日1時間、チームメートから「自主練をずっとやっている」と言われるほど、努力を重ねてきた。

 毎日シュート練習をこなし、積極的にAチームのメンバーと自主練も行った。理由は「トップチームに入った後に活躍できなければ意味がない」から。常に上のカテゴリーでプレーすることをイメージしながら、努力し続けた。Bチームが戦うプリンス関東2部リーグで今季4得点と結果を残し、この秋にトップチームに加わった。

「やってやろうという気持ちで挑んだ」。選手権群馬県予選準決勝、桐生第一戦の延長で決勝ゴールを決めたのは織茂だった。共に汗を流した仲間たちから言われた言葉は「ありがとう」。この日、スタンドから声を枯らし、「(織茂の)活躍が嬉しい」と笑顔で話すBチーム時代の仲間が応援しているからこそ魅せたい魂がある。

 試合後、スタンドに向かうと3年生とがっしりと握手を交わした織茂。「スタンドにいる奴らが納得できるようなプレーをしたい」。昨年から残る主力はGK雨野颯真主将(3年)のただ一人だが、目指すのは6年ぶりの日本一だ。「悪かった部分を反省して次の試合に繋げていきたい」。前橋育英の“不屈の男”が、仲間の想いを背負い、全力でプレーする。

(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

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