横浜商、伝統の「YY対決」で力尽く 平日ハマスタに2万3000人集結、神奈川を沸かせたY校の快進撃
第105回全国高校野球選手権・神奈川大会は24日、横浜スタジアムで準決勝が行われ、横浜商は横浜に2-12で6回コールド負け。夏33年ぶりの甲子園はならなかったが、25年ぶりのベスト4と快進撃を見せ、12年ぶりに実現した伝統の「YY対決」で球場を盛り上げた。
第105回全国高校野球選手権・神奈川大会
第105回全国高校野球選手権・神奈川大会は24日、横浜スタジアムで準決勝が行われ、横浜商は横浜に2-12で6回コールド負け。夏33年ぶりの甲子園はならなかったが、25年ぶりのベスト4と快進撃を見せ、12年ぶりに実現した伝統の「YY対決」で球場を盛り上げた。
神奈川を沸かせた横浜商の夏が終わった。2-10で迎えた6回1死満塁、横浜の稲坂陽(3年)が放ったヒットで2人生還。6回コールド負けを喫した。捕手・畔上幸主将(3年)は静かにマスクを拾って整列。泣きじゃくる者もいれば、真っ直ぐ前を向く者もいる。しかし、三塁側を埋め尽くした応援席はナインに温かい拍手を送った。菅沼努監督は涙ながらに「選手は頑張っていた。勝たせてあげたかった」と労った。
12年ぶりに実現した伝統の「YY対決」。一目見ようと2万3000人が詰めかけ、平日にも関わらず開始前から熱気に包まれた。横浜商は初回、夏2連覇中の王者・横浜相手に2点を先制して球場を沸かせた。先発したエース・川又隆之介(3年)は「ハマスタでやれたことは良い思い出。スタンド応援もいっぱいいて、背中を一押ししてくれる。ありがたい」と感謝した。
今大会、準々決勝で日大藤沢を倒すなど強豪私学も破り、25年ぶりのベスト4進出。5試合に先発し、古豪復活を印象づける立役者となったエースは「部員123人の(背番号)1番を背負っている。今日も投げ切ろうという気持ちで臨んだ」と2回の第1打席で足がつるアクシデントに見舞われながら続投。3回途中まで懸命に投げ、完全燃焼した。
明治29年(1896年)に創部された通称「Y校」。春夏16度出場した甲子園で2度の準優勝も経験し、高校野球ファンに愛される伝統校だ。1997年春を最後に聖地から遠ざかっているが、野球部のOB会長が部の歴史を講話するなど、Y校の精神は継承。令和の球児も左胸の「Y」に憧れ、門を叩く者も多い。野球部のバッグを見て、街中で声を掛けられることも。選手は「Y校の自覚を持って常に行動している」と伝統を強く意識する。
「ここまで来られた嬉しさもあるので悔いはない」と川又。夏4強まで進出した自信をつけ、新チームは再出発する。復活を印象づけたY校。「(この大会を見て)一人でも多く野球部に入ってもらって力を集結し、束になって私学の牙城を崩せたら」と指揮官。甲子園帰還を待ち望んでいる多くのファンの期待を背負い、打倒私学に燃える。
(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)