激戦神奈川でノーシードの公立校が快進撃 7日間で457球、創部初16強の舞岡エース築井泰成は「悔いない」
第105回全国高校野球選手権・神奈川大会は18日、等々力球場で5回戦が行われ、舞岡は第3シードの横浜商に0-9で7回コールド負け。公立校同士の対決に敗れたが、激戦の神奈川大会をノーシードで同校史上初のベスト16まで勝ち上がる快進撃だった。
第105回全国高校野球選手権・神奈川大会
第105回全国高校野球選手権・神奈川大会は18日、等々力球場で5回戦が行われ、舞岡は第3シードの横浜商に0-9で7回コールド負け。公立校同士の対決に敗れたが、激戦の神奈川大会をノーシードで同校史上初のベスト16まで勝ち上がる快進撃だった。
今大会4試合すべて先発し、7日間で457球を投げ抜いた。激戦の神奈川大会、舞岡をノーシードで16強まで牽引したのはエースで4番の築井泰成(3年)だ。
183センチを誇る背番号1が長い腕を横から振る。アウトを取れば「っしゃー!」と拳を握って吠える。中1日の登板が続き、疲れがないわけではない。「ここまで来たら気合で投げました」。気持ちが前面に出た6回104球の力投だったが7失点。前日には地元の温泉に浸かり、リフレッシュして臨むも、甲子園春夏16度の出場を誇る古豪・横浜商相手にそう簡単にはいかなかった。
「最初に打たれた時、流石だなと思いました」。そう語るエースの顔は晴れやかだ。近年は1、2回戦敗退が続いていたノーシードの公立校が激戦区・神奈川で快進撃。SNSなどでも注目されたことは知っていたが、プレッシャーはなかった。「ベスト32が目標だった。創部初のベスト16まで来られて悔いはない」。歴代の先輩たちを超える快挙が何よりもうれしかった。
勉強中心になる公立校では部活との両立が難しく、私立との練習の差をいかに埋めるか考えた。「練習後のミーティングでミスを振り返り、次の練習では同じミスはしないようみんなで話し合う」と築井。限られた時間で効率よく練習した。
ミーティングでは先輩・後輩関係なく、意見し合う。「他校と比べると上下関係がなく、後輩たちの言葉で引っ張ってもらい、先輩たちも刺激を与えられた」と16強進出の要因の一つに仲の良さを挙げた。スタンドにも多くの応援が駆け付け、「初戦から差し入れやエールをもらって力になった」と感謝の言葉を並べた。
「後輩は自分の意見を持っているので、そこを伸ばして新チームを引っ張っていってほしい」。熱い神奈川の夏に爽やかな旋風を吹かせた公立校のエースは、次の世代に想いを託した。
(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)