離島だからこそ学べるものがある 13人の大島合同チーム、高校サッカー予選敗退も笑顔のワケ
内地との違いを感じるも「環境は悪くない」
内地とは違う環境で新たに学ぶものもある。ピッチの中央で人一倍大きな声をかけるMF三河煌(大島海洋国際2年)は、成立学園中学校の出身。元々は強豪の成立学園高に進学予定だったが、世界の豊かな自然を守り、観光で知ってもらえる仕事をしたいと海洋国際高に進んだ。島に渡って環境の違いは感じているが、マイナスとばかりは捉えていない。
「人数は少ないですけど、環境は悪くはないなと思います。学校(海洋国際)だけだと限られた人数でしか練習できないし、できる練習も限られる。でも、佐藤先生がメニューを組んでくれますし、一緒に考えて自分からも意見を言います。練習につながりがあるようにするとか、試合の部分を切り取った形にするとか。中学の時は、先生やコーチが作ってくれるメニューをやるだけでしたけど、今は自分たちも考えないといけない。人数が少ないからこそ、みんなで協力してチーム力が上がったり、自分自身で考えて行動できるようになったりするのは、良いところだと思います」(三河)
大島などの島しょ地域は、東京都中支部4地区(千代田区、港区、大田区、品川区、島しょ)に所属。3地区と合わせて支部予選を行い、3回戦を突破すれば都大会の1次予選に進める。大島・大島海洋国際の合同チームは、初戦で都立芝商業・第一商業の合同チームと対戦。前半は、やや押され気味。スローインがすっぽ抜けるなど慣れない試合環境に緊張している様子も見られたが、無失点に抑えた。
ハーフタイムを挟むと攻勢に転じ、後半4分に右MF矢島来翔(大島海洋国際3年)の縦パスに抜け出したFW稲葉悠梧(大島3年)がGKをかわし、相手のカバーに防がれたが決定機を創出。後半15分には右サイドから攻め込んで、こぼれ球をMF三河が押し込んで先制。さらに後半21分、今度はサイドチェンジから左サイドを攻略し、中央で右MF矢島が追加点を奪った。矢島はベンチ前まで走って跳び上がると、ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドのパフォーマンスを真似て両手を広げて着地。良い雰囲気だった。
ところが直後から猛反撃を受け、立て続けに2失点。2-2で迎えたPK戦の結果は2-4。つかんだはずの勝利はするりと抜け落ちた。FW稲葉は「もったいないの一言。気が抜けた時に点を取られて相手に飲まれてしまった」と肩を落とした。試合に慣れていないのが丸分かりの展開になってしまった。