PKストップの裏に主将からの贈り物 神村学園GK広川豪琉「チームを助けてくれと…」
第101回全国高校サッカー選手権は2日、等々力陸上競技場で3回戦が行われ、第1試合では神村学園(鹿児島)が日大藤沢(神奈川)と1-1の熱戦の末に、PK戦を5-3で制して勝利。後攻だった相手の1人目のPKを止めた裏では、神村学園の主将MF大迫塁(3年)からGK広川豪琉(3年)に、ある物が贈られていた。
神村学園がPK戦にもつれる熱戦を制し日大藤沢に勝利
第101回全国高校サッカー選手権は2日、等々力陸上競技場で3回戦が行われ、第1試合では神村学園(鹿児島)が日大藤沢(神奈川)と1-1の熱戦の末に、PK戦を5-3で制して勝利。後攻だった相手の1人目のPKを止めた裏では、神村学園の主将MF大迫塁(3年)からGK広川豪琉(3年)に、ある物が贈られていた。
PK戦の1人目、先攻でシュートを成功させた主将の大迫が守護神の傍を離れない。PKを決めたキッカーが、味方GKの活躍を祈るべく駆け寄る光景はよく見かけるが、その時間が長く感じた。注目してカメラのファインダーを覗いてみると、大迫が身につけていたキャプテンマークをこれからPKに向かう広川の左腕に巻いていた。その後、広川の頭をポンと叩き、優しい笑顔でゴール方向へと送り出す。
主将から“贈り物”を貰った守護神は見事、日大藤沢の1人目だったMF野澤勇飛(3年)のキックを左に飛んでストップ。2本目以降は両校全員がPKを成功させ、神村学園が5-3で制して準々決勝への切符を手にした。
試合後、この行動について聞かれた大迫は、中等部にいた6年前に高校の先輩たちが県予選でやっていたことがきっかけだと語り、「PKはキーパーが主役。気持ちが高まる助けになれば。こいつ止めるなと思った」と心情を明かした。それに対して広川は、「チームを助けてくれと塁が言ってくれたから、ここは俺がやるしかない、俺しか止められないという気持ちだった」と大迫からの鼓舞をしっかり受け取ったようだ。
高校で唯一、PKを経験していた九州総体で「負けたことがとにかく悔しくて、選手権直前の合宿では5本中3本止めて2本外すくらいに練習した」(広川)という。「PKは運じゃなくてキーパーの実力なので。今は全部止めるぐらいの気持ちを持ってやっている」と自信を露わにした。
1月4日の準々決勝では、青森山田(青森)と対戦。目標としている国立競技場の舞台に向けて、前回王者に対してどのような戦いを見せるか注目が集まる。
(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)