“3冠世代”の残像を追う青森山田 新チーム始動は苦難の連続も「伝家の宝刀」健在
黒田監督もシーズン序盤の苦戦は覚悟
原点回帰とも言える堅守とセットプレーで勝利をものにしたが、内容面では満足していない。高校選手権の決勝戦で被シュートゼロを達成した守備にはまだ遠く、攻撃面でも昨年のようにパスワークからゴールを陥れることはできなかった。
中盤でボール奪取を繰り返した中山は「まだ内容は、足りない。特に自分のパフォーマンスが上がっていない。冬の(活動できなかった)1、2か月が大きい。下半身ももっと筋力トレーニングをする予定だったが、上手くいかなかった。それを言い訳にしてはいけないし、運動量やボール奪取は、昨年くらいのレベルにいかないと優勝できない」と厳しく自己評価。エースの役割を果たした小湊も「昨年に比べるとまだまだと日頃から感じているので、周りを引き上げていかないといけない」と昨年との比較に触れた。
差があることは認めながらも、昨年の3冠チームを追いかける姿勢はある。黒田監督は「危ない場面もあったし、昨年みたいな守備はまだできないけど、どうやって近付いていくか。夏までに(冬にできなかった)体の鍛錬とスキルアップ、メンタリティーの3本立てで並行してやらないといけない。去年は去年。追われる立場にはなるのだろうけど、チーム(選手)は100%変わっている。割り切ってやるしかない」と序盤の苦戦は覚悟の上で、今後の成長に期待をかけた。
3冠翌年の注目度にさらされながら、鍛えて強くなる青森山田の真骨頂を発揮できるか、注目だ。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)