「高校サッカーに未練はない」 負傷離脱の神村学園主将・抜水昂太が母に明かした思い
第100回全国高校サッカー選手権は31日、等々力陸上競技場で2回戦が行われ、第2試合では神村学園(鹿児島)が帝京長岡(新潟)に2-3で惜敗。大会注目の2年生FW福田師王やJ3のFC今治加入が内定しているMF佐藤璃樹(3年)などを擁する九州のタレント集団だったが、初戦で姿を消した。そんなチームを牽引していたのは、ベンチ入りしながらも大怪我でプレーできなかった主将・抜水昂太(3年)だった。
強豪校同士の一戦 神村学園が2-3で初戦敗退
第100回全国高校サッカー選手権は31日、等々力陸上競技場で2回戦が行われ、第2試合では神村学園(鹿児島)が帝京長岡(新潟)に2-3で惜敗。大会注目の2年生FW福田師王やJ3のFC今治加入が内定しているMF佐藤璃樹(3年)などを擁する九州のタレント集団だったが、初戦で姿を消した。そんなチームを牽引していたのは、ベンチ入りしながらも大怪我でプレーできなかった主将・抜水昂太(3年)だった。
5年連続で鹿児島を制した神村学園が初戦で散った。前半に2失点。後半に入って1点を返すも1-3とされ、同36分に佐藤のゴールで最後まで粘りを見せたが、2年連続で選手権4強の強豪の壁は高かった。試合中には逆転を信じたリザーブのメンバーがベンチ裏でアップ。しかし、動かず試合をじっと見つめる主将の姿があった。チームが失点をしても表情を変えず、勝利を信じ、仲間を鼓舞していた。
3年生DF抜水は、県大会直前で右膝前十字じん帯を断裂。手術を受け、チームをサポートする立場に回った。この決断をした時、「全国の舞台に立てないのは残念だけど、高校サッカーに未練は残ってない。日々やり切ったから心残りはない」と家族に話したという。当時本人より落ち込んでいた母・知世さんは、その言葉を聞けて「家族もそれで前を向けた」と振り返る。「息子が作ってきたチームだと思っている。彼の気持ちを受けて、みんなが戦ってくれることが昂太への想いだと思う」と自慢の息子に胸を張った。
有村圭一郎監督も「このチームは彼が1年間まとめて作ってくれたチーム。最後勝ちきることはできなかったが、彼が先頭に立ってよくやってくれた」と、中学から同校でプレーした背番号7を労った。代理でゲームキャプテンを務め、中学から抜水と共に戦ったMF畠中健心(3年)は「怪我をしていない時は常に先頭に立って、声をかけたり走ったりして、チームを引っ張っていたので、自分も声掛けや誰よりも走ることを意識していた」と語り、仲間への想いをプレーで示そうとしていた。
周囲の言葉から、その重みが分かる抜水の存在感。激闘の裏には、神村学園を支えた主将の姿もあったことを忘れてはいけない。
(THE ANSWER編集部・和田 秀太郎 / Shutaro Wada)