青森山田が16年ぶりV PK戦突入寸前、決勝弾のDF丸山「足が取れても決める気持ちで」
全国高校総体(インターハイ)のサッカー競技男子は22日にテクノポート福井総合公園スタジアムで決勝戦を行い、延長戦の末に青森山田高校(青森)が2-1の逆転で米子北高校(鳥取)を破り、2005年以来16年ぶり2度目の優勝を飾った。
全国高校総体・サッカー男子決勝
全国高校総体(インターハイ)のサッカー競技男子は22日にテクノポート福井総合公園スタジアムで決勝戦を行い、延長戦の末に青森山田高校(青森)が2-1の逆転で米子北高校(鳥取)を破り、2005年以来16年ぶり2度目の優勝を飾った。
準決勝まで5試合で28得点(1試合平均5.6得点)と驚異的な得点力を発揮し、1大会最多得点(26点)を更新してきた青森山田と、堅守をベースにロースコアで勝ち上がってきた米子北の戦い。先制パンチを見舞ったのは米子北だった。ロングパスで押し込み、高い位置から相手にプレッシャーをかけていった。青森山田は緊張感からクリアやパスのミスが目立ち、こぼれ球を拾われた。前半10分、米子北は、相手のミスで得たスローインで素早くプレーを再開し、FW福田秀人(2年)がドリブル。反応が遅れた青森山田DF三輪椋平(3年)にペナルティエリア内で倒されてPKを獲得佐野海舟(町田)の弟で主将のMF佐野航大(3年)がPKを決めて先制に成功した。
青森山田は、今大会で初めてリードを奪われた。同点を狙って得意のサイドアタックで攻め込んだが、米子北は伝統の堅守でサイドに蓋をした。特に左DF海老沼慶士(3年)は、何度も相手を食い止め、ボールを奪った。また、青森山田のもう一つの武器であるロングスローを前半だけで10本投げ込まれたが、これも主将を務めるDF鈴木慎之介(3年)を中心に跳ね返した。しかし、この残像が後半に思わぬ展開をもたらした。米子北が1-0のリードで迎えた後半、青森山田はサイドからの速い攻撃に頼らず、中盤に人を集めてショートパスをつないで崩しにかかり、押し込むことに成功。セカンドボールを拾って二次攻撃につなげる場面が増えた。
そして迎えた後半29分、青森山田は左サイドでスローインを得ると、ロングスローを投げるDF多久島良紀(2年)が意表をついてショートスロー。MF小原由敬(3年)がクロスを入れると、DF丸山がヘディングで合わせて同点とした。米子北のDF鈴木は「失点の場面はロングスローに対応しようとし過ぎて、ボールを見ていなくてショートで入れられた。そういう気の緩みが失点につながったと思う」と悔しがった。
延長戦は、互いに選手交代を重ねる総力戦。青森山田が押し込み、米子北がカウンターを狙う展開で拮抗した。延長後半のアディショナルタイム、青森山田が得た左CKは、黒田剛監督が「相手ベンチがレフェリーに(残り時間を)ノータイムとアピールしていて、絶対にPK戦に持ち込ませたくなかった」と振り返った、ラストプレーになる可能性の高い場面だったが、MF藤森颯太(3年)が右足で蹴ったボールを「ここで決めれば勝ちだと思って、足が(疲れていたけど)取れても決めてやるという気持ちで」とニアサイドに飛び込んだDF丸山がヘディングシュート突き刺して、逆転。試合は再開せずにタイムアップとなり、青森山田が劇的な逆転で勝利をもぎ取った。
中盤で守備もするボランチというポジションでありながら通算5得点で神村学園高校のU-18日本代表FW福田師王(2年)と並んで得点王となった青森山田のMF松木玖生(3年)は、1年次から主力だったが、高校選手権で2年連続準優勝とあと一歩でタイトルに届かず、ようやく達成した日本一に号泣。ベンチに戻ると、誰に言うでもなく、震えるように「ありがとう」とつぶやいた。