浴びせられた辛辣批判 女子バレー竹下佳江さんはいかにして逆境越えたのか
浴びせられた辛辣な批判、「159センチのセッターじゃ無理でしょ」
竹下さんにとって競技人生で大きな試練を味わったのは00年シドニー五輪最終予選だった。この大一番で正セッターに抜擢されたものの、チームは史上初となる本戦出場権を逃す結果となった。
「バレーボールは伝統あるスポーツで、その当時はメディアでは『出場権が途絶えてしまった』と大きく報道されました。また私に向けても『159センチのセッターじゃ無理でしょ』というものもあり、とても苦しい状況にありました。そこから2年間競技を続けましたが、精神的にいっぱいいっぱいで、バレーボールが楽しくないと思う自分がいました」
02年、竹下さんは所属していたNECを退社して、バレーボールから一度距離を置くことを決意。自らを追い込み続けた日々から解放されたことによって、今まで気づかなかったものにも目を向けたという。
「当時はバレー漬けの毎日で、外の世界とあまり触れ合うことがなかったです。言ってみれば、社会人だけど社会人ではない、365日ずっとバレーをやっている状況でした。一度バレーから離れて人間らしい生活をしたことで“こういう空気感もあるのか”と気づくことができました」
バレーボールにすべてを費やしていた日々から一転し、友人と食事や買い物に行き、身体を動かしたい時にジムへと足を運んだ。“普通の生活”となり「すべてが新鮮でした」。同時に、競技への思いも強くなっていたという。