「ポカリスエット ブカツ応援キャラバン」前園真聖氏が創部3年目の高校サッカー部を特別指導!
1996年のアトランタ五輪日本代表で主将を務め、横浜フリューゲルスやヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)などJリーグでも活躍した元日本代表MF前園真聖氏が、福島県会津若松市で部活に励む高校サッカー部員のために特別レッスンを施した。
“天才ドリブラー”が掲げたテーマとは
1996年のアトランタ五輪日本代表で主将を務め、横浜フリューゲルスやヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)などJリーグでも活躍した元日本代表MF前園真聖氏が、福島県会津若松市で部活に励む高校サッカー部員のために特別レッスンを施した。
同イベントは大塚製薬が企画する「ポカリスエット ブカツ応援キャラバン」の一環で実施。前園氏は10日に福島県の私立若松第一高校サッカー部を訪れた。20年前のアトランタ五輪本戦では強豪ブラジルを破る“マイアミの奇跡”に貢献し、現在はテレビ等でも活躍する同氏。練習場に姿を現すと、部員たちは「あ、前園さんだ!」と感嘆の声を上げた。
若松第一高はもともと女子校だったこともあり、サッカー部が創設されたのは3年前。前園氏が歴史の浅いチームに示したテーマは、自分自身でプレーを決める判断力や責任の持ち方だった。
「楽しんでほしいと思いますが、全力でプレーする瞬間は全力で臨もう」
そう声をかけると自ら考えた練習メニューを選手たちに課した。谷山文哉監督が「パスをしっかりとつないで、ゴールに向かっていけるチームを目指しています」と語ったこともあり、前園氏はパスをつなぐためのクオリティーを上げるための練習を考えていた。いわゆる“鳥かご”と言われる4対1、5対2、6対3のパス回しを中心に、ボールをもらう際の身体の向きや予備動作についてきめ細やかに指導した。
主将も痛感、「正直なところ甘かった」
同氏の要求はパスの出し手や受け手以外にも及んだ。「ディフェンスする側はどこでボールを奪いたいのかを考えてる?ただゆっくり走ってるだけじゃ、パスを回す側はプレッシャーを感じないよ!」と、緩急をつけたディフェンスを徹底させた。
この指導に「自分たちがやってきたことが、正直なところ甘かったと痛感しました」と話したのはキャプテンを務めるMF渡部紅太選手だ。
「今まで自分たちが部活の練習の中で思い通りにプレーできていたのは、ディフェンスのプレッシャーが遅かったからでした。今日、前園さんに指摘してもらったことでプレッシャーが速くなると、今度はパスの正確さが明らかに落ちてしまいました。正確なプレーが高いレベルでも出せるように、普段の練習から慣れないといけないと感じました」
また緊張もあってか、球際でのプレーは遠慮がちで、声があまり出ていなかった部員たちに、前園氏は「もっと自分でプレーをする、判断することの責任を持ってほしい。トレーニングを見ていて、プレーしているみんなじゃなくて、オレが一番しゃべっている。『ここにボールが欲しい』『スペースに走り込め!』『もっと早いパス出してくれ!』とか、もっと仲間に自分の要求を伝えてほしい。日本代表やJリーグの試合でも選手たちはジェスチャーとか声で要求しているよね?」と、コミュニケーションの重要性も指摘した。
次第に変わったプレー姿勢、「前園さんの言葉は非常に響いた」
前園氏は自身がモットーとする「向上心」についても伝え、次第に口調にも熱が帯びた。
「プロにも上手い選手、そうではない選手の差はもちろんある。その差があったとしても、自分の判断したプレーに責任感を持ってほしい。それはサッカーだけに限った話ではなくて、今後の人生にも役立つことで、サッカーの中には今後につながるたくさんの要素が詰まっていることを忘れないでほしい」
時折、トレーニング中に部員たちを集めて熱心に語りかけた前園氏。トレーニングの終盤に入ると、部員たちのプレーに自然と激しさが増していった。その姿に「ナイスプレー!」との声も飛ぶようになった。
練習を終えると、谷山監督は「責任感を持ってプレーすることが、人生の中でも自分が失敗した時に取り返すということにつながっていきます。プレー以外の心の面に前園さんの言葉は非常に響いたと感じました」と話し、天才ドリブラーがもたらした意識改革に感謝した。「高校サッカー選手権大会の県2次予選を勝ち上がること」(渡部主将)が当面の目標の若松第一高サッカー部にとって、この日の約2時間の指導はかけがえのないものとなったに違いない。