堀越が29年ぶり全国出場 OBの佐藤監督が「古豪」卒業アピール「いつか結果は出ると」
もう、古豪の称号は卒業だ! 東京都の堀越高校と言えば、テレビタレントなどが多く通っていることで知られているが、今年はサッカー部が話題をさらう。第99回全国高校サッカー選手権の東京都大会は14日、駒沢陸上競技場でA、B両ブロックの決勝戦を行い、Bブロックは、堀越が2-1で大成を破り、29年ぶり3回目の全国大会出場を決めた。
東京B決勝で大成を2-1で撃破、監督「子供にも堀越は古豪と言われ…」
もう、古豪の称号は卒業だ! 東京都の堀越高校と言えば、テレビタレントなどが多く通っていることで知られているが、今年はサッカー部が話題をさらう。第99回全国高校サッカー選手権の東京都大会は14日、駒沢陸上競技場でA、B両ブロックの決勝戦を行い、Bブロックは、堀越が2-1で大成を破り、29年ぶり3回目の全国大会出場を決めた。
チームを率いているのは、同校サッカー部のOBである佐藤実監督。試合後の取材で29年ぶりに歴史を変えたことについて聞かれると「もう長いこと全国に出ていないということで、選手として3年、指導者としても何年か携わり、責任もある。メディアの皆さんにも古豪と言われ、私は家庭でも子どもにも堀越は古豪と言われていましたが、積み上げればいつか結果は出ると思っていて、それは今年のチームなのだろうという手ごたえはありました」と胸を張った。
堀越のサッカー部は、練習メニューやメンバー決めを選手が主導で行うボトムアップ方式で活動している。この良さが、土壇場で生きた。試合は、前半12分に幸先よく先制。4本のパスがテンポよく交換される間に6人が連動するパスサッカーは、見事だった。しかし、後半は相手ペースに巻き込まれる苦しい試合だった。しかも後半の終了2分前に同点に追いつかれる嫌な流れだった。しかし、佐藤監督が「選手の方が落ち着いていた」と話したとおり、主将の日野翔太(3年)が冷静にチームメイトに声をかけていた。
「失点はしたくなかったのですが、頭の片隅では失点したときはどうするかということも考えていました。追いつかれてから残り時間3分くらいしかなかったので、まずは連続失点をしないようにと声をかけました。1-1のままでもいいし、延長戦、PK戦まで考えていました」(日野)
日ごろから選手主導で考えるため、指導スタッフの判断を仰ぐばかりではなく、選手で判断ができる。日野の判断は、決して連続失点をしのげば良いというだけではなかった。
「追いついた相手にも緩みはあると思いましたし、勢いに乗って前に出てくると思ったので(フィジカルの強い)FWの若松(隼人=3年)に当てた後の落としや、そらしの後のボールを、3分間の中で(シャドーストライカーの)自分が狙えるかどうかと考えていた」と密かに攻撃面で描いていたイメージが見事にはまった。後半のアディショナルタイム、若松に当てたロングボールを味方がつなぐと、ゴール前に上がっていた日野がワンタッチでゴールへ流し込み、劇的な勝ち越しゴールで、手中からすり抜けかけた勝利をしっかりとつかみ直した。
選手主導の強化策に切り替えて9年目で、ついに東京都の頂点に立った。日野は「昨年から一番の目標は、東京制覇。それを達成できたので、もう1回、目標設定をすることになると思いますが、やっていることに自信を持って、勝つために必要なことをやりたい。やりたいことではなく、やるべきことをやらないといけない」と自らを律するように、次のステージへ向かう意気込みを語った。全国でも十分に通用する力を持っていることは、間違いない。「古豪」ではなく現代の「強豪」であることを証明する戦いに挑む。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)