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なぜ、米国は公立中学・高校でもアメフト部ヘッドコーチの指導者報酬が一番高いのか

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「公立中学・高校でも、アメフト部ヘッドコーチの指導者報酬が一番高い理由」について。

公立中学・高校でも、アメフト部HCの指導者報酬が一番高い理由とは【写真:Getty Images】
公立中学・高校でも、アメフト部HCの指導者報酬が一番高い理由とは【写真:Getty Images】

連載「Sports From USA」―大学は学長クラス、アメフト部HCの報酬が一番高い米国

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「公立中学・高校でも、アメフト部ヘッドコーチの指導者報酬が一番高い理由」について。

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 米国の大学では、アメリカンフットボール部のヘッドコーチが巨額な報酬を得ている。授業を受け持つ教授陣の年俸よりも高く、学長クラスか、それ以上のケースも珍しくない。100年も前から、同じような傾向にある。

 強豪の大学アメフト部のコーチが高額である理由は、チームが勝つことで観客動員が増え収益が上げられること、チームの好成績によって大学の知名度が上がり、入学者増、寄付金増を期待できるからだと言われている。それに、実績のある有名なコーチを招へいするには、他校との争奪戦にもなり、金額もつり上がっていく。監督側からすれば、教授らとは違い、チームを勝利に導かなければ、すぐにクビになるので、ハイリスク、ハイリターンは当然と言えるかもしれない。

「THE ANSWER」の連載で、昨年10月30日に発表した記事のなかで、米国では公立中学や高校の運動部のコーチをする教員に報酬が支払われていることをレポートした。1シーズン(3~4か月)あたり5000ドル~6000ドルが相場で、教員年俸の1割程度になっている学校区が多い。

 実際には、運動部の種目や、ヘッドコーチか、アシスタントコーチかによって、報酬額が少しずつ異なる。

 公立の高校や中学でも、アメリカンフットボール部のヘッドコーチの報酬が、最も高いのだ。米国は高校の運動部の試合でも入場料を徴収するから、お客さんが入るアメフト部のコーチの報酬は高額になるのか? 勝たなければクビになるからか?

 種明かしをすれば、最も労働時間が長い、負担が大きいことなどがその理由だ。

 前述したように、公立の中学校や高校の教員が、時間外の仕事として運動部指導をするときには、時間外労働としての報酬が支払われる。

 生徒たちの課外活動は、運動部活動だけではなく、文化部活動もある。それ以外にも卒業アルバム製作といった生徒の課外活動などは、運動部活動よりも、活動期間が短く、他校へ出かけていく、試合会場へ出かけていくことも少なく、顧問をする教員の負担もそれほど重くない。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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