豪州を一蹴した試合巧者イングランド 箕内拓郎「まるで詰め将棋のような試合だった」
ディフェンスから効率よくアタックへ、日本代表も参考になる戦い方を披露
オーストラリアは後半、少しずつ点差を広げられ、気が付いたら追いつけない点差になっていた。攻めざるを得ない状況に追い詰められ、焦りも生まれ、ミスが出る。最後にインターセプトからトライされた場面は象徴的でした。80分間プレッシャーを掛けながら、オーストラリアの打つ手を奪っていったイングランドが一枚上手でした。
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勝負が決まったのは、後半55分くらいにイングランド陣内深くで繰り広げられた攻防の場面です。オーストラリアはゴールライン手前まで攻め込んだのに、イングランドの粘り強いディフェンスに少しずつ戻され、結局は自分たちのミスでターンオーバーされてしまった。もし、あの場面でオーストラリアがトライしていたら、勝負の行方は分からなかったでしょう。
ミスを重ねたオーストラリアと対照的に、イングランドは本当に隙のないラグビーをしました。スクラムやラインアウトなどFWのセットプレー、ラック、モールといった場面でも、思い通りの形を作れていましたね。そして何よりも、コンバージョン4本、PG4本と、8本のキックを全て成功させたファレルの存在は大きい。彼を10番(SO)に置くことで、イングランドはディフェンスも強化できていますし、こういう舞台で確実に決めてくるあたり、さすがですね。
この試合のスタッツを見てみると、ボールの支配率はイングランド36%、オーストラリア64%。実は、オーストラリアがボールを持っている時間の方が圧倒的に多かったんです。つまり、イングランドは非常に効率よくディフェンスからアタックに切り替えられていた。特に、後半は敵陣でもディフェンスのプレッシャーを強めたことで、相手のミスを誘っていました。こういった戦い方は、日本代表もすごく参考になると思います。
試合後のエディーさんの笑顔を見ても、この日のイングランドはプラン通りの勝ち方だったんでしょう。バック3の決定力、FWのセットプレーの安定感、隙のないラグビー。あらためて、今大会でイングランドが優勝する可能性は十分あると思いました。次の準決勝の対戦相手はニュージーランド。これもまた、面白い駆け引きが期待できそうです。
(THE ANSWER編集部)