錦織圭は「ゼロ隙圭」になれるか 松岡修造が見る、グランドスラム8強の壁打破の条件
松岡氏が感じる、29歳・錦織の伸びしろ「テニスは備わっている、あとは…」
12月に誕生日を迎える錦織は30歳目前。年齢について「フェデラーは錦織選手に対して、大きな希望を与えている。ジョコビッチもナダルも同じです。それぞれ全員プレースタイルが違う。特にナダルのように体力を大事にする人が年齢がいってもこんなにできるんだと」と言う。では、錦織の今後のキャリアを考えると、29歳の今後に伸びしろはあるのか。
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「テニスはすでに備わっているので、あとはメンタルでしょう。彼の背丈(178センチ)で安定して頑張っている強さは評価の一つに値する一方で、大事な時に強い選手に『どうした?』というような試合で負けてしまうことが多い選手という評価もある。でも、メンタルサイドは変えることができる。そこをみんな期待しているし、一番期待しているのは錦織圭なんじゃないか。そこを打破した時、彼は何歳まででもやれると思う。
だってキツイですよ、ほかの人より何倍も動かないといけないから。いざという時に武器となるサービスを持っていないので、プレーに何倍の集中力が必要になる。前向きに『圭は大丈夫です。フェデラーを見てください、何歳でもやれますよ』と気持ちのいいことを言いたいけど、そんな風に簡単に言えば、嘘になってしまう。ただし、伸びしろという意味では、彼の心が変わってくれれば、もっとタフになれば、彼のテニス人生はすごく長くなると思っています」
今後のキャリアにおいて、松岡氏が「キーポイントになる気がする」と見据えるものがある。東京五輪だ。
「前回のリオ五輪もそうだったけど、日本人の応援があり、グランドスラムではもらえない特別なエネルギーがやってくる。それによって彼のテニス人生は変わるかもしれない。今のままでも、トップ10~20位くらいでずーっとやるかもしれない。でも、僕らが期待しているのはグランドスラムを獲ってほしい、本当のトップを狙ってほしいということ。そこに圭が行けるかどうか」
錦織のテニス人生を占う上でも重要となる20代最後のグランドスラム、全米オープン。最後に、これまでなかなかスポーツは好きでも、テニスを熱中して見てこなかったスポーツファンがどうすれば、今大会を楽しめるのか。松岡氏の視点で語ってもらった。
「五輪競技も含め、その選手の生きざまを知っていくと、入りやすいのは確かです。特に『BIG3』に関して言うと、彼らのヒストリーはすでに生ける伝説ですよ。その人たちが今、昔より強くなって一番最先端で、最高のテニスをしている。こんな時代はやってこない。その時代のテニスを今見ないのはもったいなさすぎる。だからこそ『今を本当に見逃すな!』と言いたい。次世代の選手たちが強くなりつつある中、数年後には世界ランキングは変わってしまうでしょう。どちらの時代が面白いかというのは言いたくないけど、今は最高潮でしょうね。男子はこんなにヒートアップしている。こんな時代を解説できる幸せな機会はないですよ」
悲願のグランドスラム制覇を狙う錦織。テニス史に残る進化を遂げる3人のレジェンド。下剋上を狙う若手。様々な思いが交錯する熱戦の幕開けは、26日だ。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)
◆全米オープン、WOWOWで連日独占生中継 26日に開幕する全米オープンは9月9日の決勝まで連日、WOWOWで独占生中継される。大会第1日は無料で視聴できる。