なぜ卓球は中国がこんなに強い? 実は「卓球王国」はもともと日本…欧米に劣等感抱く国民に決断
スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。
「シン・オリンピックのミカタ」#43 連載「オリンピック・トリビア」第12回
スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。
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今回は連載「オリンピック・トリビア」。いろんなスポーツが行われる五輪を見ていると、それぞれの競技のルールやしきたりなど「よくよく考えると、これってなんで?」と不思議に思うことがないだろうか。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和とスポーツを40年追い続けたスペシャリスト・荻島弘一氏が、そんな今さら聞けない素朴なギモンに回答。オリンピック観戦を楽しむトリビアを提供する。第12回は「どうして卓球では圧倒的に中国が強いの?」。
◇ ◇ ◇
Q.どうして卓球では圧倒的に中国が強いの?
A.周恩来首相が卓球王国「日本」を目指したから。
【解説】
今は中国が「卓球王国」として有名ですが、実は日本がそう呼ばれていた時代がありました。1950年代から60年代にかけて、日本卓球は世界に君臨。特に後に国際卓球連盟の会長になる荻村伊智朗氏は世界選手権で12個の金メダルを獲得するなど欧州勢を圧倒していました。
目をつけたのが中国でした。1949年に就任した周恩来首相は、欧米人に対して劣等感を抱く国民に自信を取り戻させるため、スポーツ振興に力を入れることを決意します。ターゲットが卓球でした。
卓球ならば、欧米人に体格で劣る中国人でも活躍できる。お手本が同じような体格ながら世界を席巻する日本だったのです。さらに、卓球台とラケット、ボールがあればどこでもできる。広い土地や立派な施設もいらない。老若男女が親しむスポーツとしても最適だと考えたのです。
まだ日本と国交もなかった時代ですが、周恩来首相は荻村氏ら日本人を招待し、技術指導にも力を入れました。「国技」と位置付けてプレーすることを奨励し、国策として選手強化にも力を入れました。
56年に東京で行われた世界選手権に出場した時はメダル0に終わりましたが、59年の世界選手権男子シングルスで容国団が中国選手として初優勝。70年代以降は一時男子の低迷があったとはいえ、世界中で中国出身選手が活躍するなど「卓球王国」として君臨しています。
ちなみに、卓球が五輪競技となったのは1988年ソウル大会からですが、世界選手権が始まったのはサッカーのW杯より早い1926年。2年後には100周年大会が第1回が行われたロンドンで開催される予定です。
(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)