女子バスケ日本3P不発の裏に…世界に練られる対策と研究「サイズ差を突かれる以上の要因」【渡邉拓馬の目】
痛かった山本麻衣の不在
得点源である山本麻衣選手の不在も非常に痛かった。彼女は替えの見つけるのが難しいスコアラーですし、チャンスクリエイトの部分でも味方にフリーで3Pを打たせることのできる選手。相手のディフェンスを引きつけられる選手なので、オフェンス面でチーム全体に及ぼす影響は大きかったと思います。
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初戦のアメリカ戦もそうだったように、インサイドがもう少し粘り強く戦えないと厳しい展開が長くなってしまいます。高田選手と赤穂ひまわり選手はアベレージ高くプレーできているので、あとは馬瓜エブリン選手と馬瓜ステファニー選手が本来の力を発揮できれば日本の時間帯を作りやすくなる。自分たちのパフォーマンスに納得していない表情をしている2人の奮起が待たれます。
サイズ差は突かれるのが仕方ない部分ですが、それ以上に研究と対策を練られているのが良さを出しきれていない要因でしょう。日本が世界のトップクラスに仲間入りしている証拠で名誉なことではありますが、超えていかなければいけない壁です。前回大会での銀メダル獲得がプレッシャーに変わって、知らず知らずのうちに硬さが出てしまっているのかもしれませんし、連続して結果を出すのは本当に難しいと痛感させられます。
苦しい状況ですが、まだ決勝トーナメント進出の可能性は残っています。3戦目で対戦するベルギーは世界ランキングで日本よりも上の6位と強豪だからこそ、思い切ったプレーでぶつかっていってほしい。山本選手の脳震とうの状態が気がかりですが、吉田亜沙美選手のようなベテラン選手もいますし、きっかけを作れる選手をスターターとして起用するのも有効かもしれません。とにかく迷いなくプレーしてほしい。
もしシュートが入らなくてもディフェンスのミスを減らして、自分たちの良さを出せるような展開を粘り強く作ることが大切です。五輪本番ではどのチームも強い気持ちで臨んでくるので勝つのは本当に難しい。でも、だからこそ勝利の価値は一層増していくはず。原点に戻って、自分たちのバスケットを楽しんでもらいたいです。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)