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残り10秒&4点リードでなぜ日本はファウルを犯した? 大金星スルリ「結果論なら必要ないが…」選手特有の心理【渡邉拓馬の目】

スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

河村勇輝【写真:FIBA提供】
河村勇輝【写真:FIBA提供】

「シン・オリンピックのミカタ」#34 男子バスケットボール解説・渡邉拓馬

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

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 大会期間中、各競技のスペシャリストによる試合解説を随時展開する。今回は男子バスケットボール。1次リーグB組の第2戦が30日に行われ、世界ランク26位の日本が同9位フランスと対戦。後半残り10秒までリードしながら追いつかれ、延長戦の末に90-94で敗れた。この試合を元日本代表・渡邉拓馬氏が分析する。開催国フランスから大金星寸前に迫った日本。試合終了間際、河村勇輝が与えたバスケットカウントの判定が物議を醸しているが、渡邉氏の見解は――。(構成=藤井 雅彦)

 ◇ ◇ ◇

 日本の力は世界に通用するレベルにある。自信が確信に変わるようなゲームで、次へのステップを踏むための大切な惜敗になりました。

 細かい部分に“たられば”を見つけようと思えばいくつでも見つけられるほど惜しかった。ですが、あのワンプレーが敗因という試合ではありません。トータルで振り返ると五輪や国際大会での経験値の差が結果に表れたような気がします。悔しいけれど認めなければいけないのは、フランスは東京五輪で銀メダルを獲得した強いチームという事実です。

 第4クォーター残り47秒、フランスのチームファウルで得たフリースローを河村勇輝選手が2本決めて82-80。残り16.4秒、再び河村選手がフリースロー2本をしっかりと決めて84対80。4点差は試合開始1分で奪った時以来、この試合最大のリードです。残り時間を踏まえると、日本が勝利に最も近づいたタイミングでした。

 仮に3Pシュートを決められたとしても、まだ1点のリードがある。この状況でフランスの選手が放った3Pシュートに対して河村選手がファウルでバスケットカウントを与えて同点に追いつかれた場面が最初のポイントでしょう。ほんのわずかだけ触れた程度のファウル判定ですが、決めたマシュー・ストラゼル選手は河村選手よりも若い21歳のプレーヤー。素晴らしい勝負強さでした。

 結果論で言えば、ファウルする必要はなかったのかもしれません。でも、あのプレーは勝ちたいという気持ちの強さの表れであって、相手に少しでもプレッシャーを与えたいという心理は痛いほど理解できます。客観的な意見と実際にプレーしている選手の心理状態はまったく同じではありません。本当にギリギリの精神状態で戦っているのですから。

 追いつかれたものの、日本には最後のオフェンスチャンスが残されていました。ボールを受けた河村選手はゆっくりとしたドリブルで時計の針を進め、残り3秒のタイミングで3Pシュートを狙った。決まっていれば日本の勝利は99%決まっていたと思いますが、惜しくもリングに嫌われてしまいました。

 あのシュートがあらかじめチームとして決めていたサインプレーなのか、あるいはポイントガードである河村選手の判断だったのかは分かりません。間違いなく言えるのは時間をある程度使って攻める必要があって、ミスで奪われるのは絶対に許されないということ。攻める側にもプレッシャーはかかっているわけです。

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