なでしこ、快進撃8強に見た日本女子サッカーの成長の跡 永里亜紗乃「縦に速い攻撃ができるように」
日本の女子サッカーの成長「縦に速い攻撃ができるように」
こうして日本が自分たちの形に持ち込み、生まれたのが試合を決定付ける3点目です。
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今のチームはポゼッションだけでなく、縦への意識付けがしっかりできています。2~3人でも縦→縦とパスがつながることで決定機を作り、個人ではなくグループとしてカウンターを有効活用している。もちろん長い距離を走り、なおかつ後ろからDFのプレッシャーを受けているのに綺麗に決めてしまう宮澤ひなた選手はノリにノッています。
状況に応じた戦い方ができるようになった日本は、相手からすると戦いにくいチームかもしれません。前半のように引いて守備を固められてもこじ開けることができるし、相手が前へ出てきたら5バックになって我慢できる。ロングボールを放り込まれて危ない場面もありましたが、山下杏也加選手のビッグセーブも力強かった。3-1のまま勝つのと、1点返されて3-2で終わるのでは、次戦に向けた精神状態が大きく違うと思います。
もともと個の能力が上がってきていたところに、チームとしての組織力も向上してきた様子がうかがえます。方向性がまとまり、戦術プランをしっかり実行できる技術もある。海外でプレーする選手が増えたことで、カウンターの場面に象徴されるように縦に速い攻撃ができるようになっているのも日本の女子サッカーの成長でしょう。
準々決勝で対戦するのは、どちらも優勝候補のスウェーデンかアメリカです。厳しい戦いになるのは間違いありません。でもノルウェー戦のようにしっかりと勝つために道筋を立てて、相手の出方を見ながら冷静に戦えれば、勝機は必ずあります。
ラウンド16をただ勝ったことだけでなく、内容も素晴らしかった。そんなサッカーを実践できている今大会のなでしこジャパンをたくさんの人に見てもらいたい。そして、ここから先の戦いでは皆さんの応援が大きな力になります。一緒に日本の背中を押しましょう。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)