なでしこ、完璧すぎるスペイン4-0撃破の理由 永里亜紗乃「スペインに“持たせていた”感覚に近い」
サッカーのFIFA女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア・ニュージーランド大会は26日、ニュージーランド・ダニーデンで行われた1次リーグC組第3戦で日本代表・なでしこジャパンがスペインを4-0で下し、3連勝。勝ち点9とし、4大会連続の決勝トーナメントを1位通過で決めた。元日本代表FWで2015年W杯カナダ大会準優勝メンバーの解説者・永里亜紗乃さんは完璧な戦いぶりの理由を明かしながら、決勝トーナメントに向けた期待を込めた。(構成=藤井 雅彦)
2015年W杯カナダ大会準優勝メンバーの元日本代表FW永里亜紗乃さんが解説
サッカーのFIFA女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア・ニュージーランド大会は26日、ニュージーランド・ダニーデンで行われた1次リーグC組第3戦で日本代表・なでしこジャパンがスペインを4-0で下し、3連勝。勝ち点9とし、4大会連続の決勝トーナメントを1位通過で決めた。元日本代表FWで2015年W杯カナダ大会準優勝メンバーの解説者・永里亜紗乃さんは完璧な戦いぶりの理由を明かしながら、決勝トーナメントに向けた期待を込めた。(構成=藤井 雅彦)
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完璧すぎる4-0でした。
試合に臨むにあたってイメージしていたゲームプランをほぼ100%遂行できたのではないでしょうか。スペインがボールを保持してくることを想定し、ディフェンスラインの5人と中盤の4人がブロックを形成する。前線からボールを奪いに行く戦い方ではなく、あえて全体的に少し引いて守備をスタートさせた印象です。
データにも表れているように圧倒的にボールを握られましたが、選手としては「持たせていた」という感覚に近かったのでしょう。ボールを奪うために誰かが前へ出た場面でも戻りが早く、近くの選手が素早くスライドして穴を作らなかった。スペースを与えない守備を徹底できていました。スペインに決定機を作らせなかった守備は満点の出来と言っていいでしょう。
攻撃でも共通理解を持ってプレーできていました。パスを前方向につなげること、そして相手の背後のスペースを突く。この連動がすべての得点につながっていたと思います。フィニッシュの精度に関しては出来すぎだったかもしれませんが、狙いを持ってアクションを起こしたからこその成果です。
この試合で2ゴール決めた宮澤ひなた選手はボールを持っている場面でもスピードを生かせる選手。でもスペイン戦ではボールを持っていない状態でスペースへ抜ける動きがとにかく素晴らしかった。味方がパスを出してくれると信じて走っていましたし、誰よりも早くスタートを切っていた。シュートも本当に落ち着いていました。
1点目をお膳立てした遠藤純選手も好調です。彼女には左サイドでボールを持った時に簡単に奪われないキープ力がある。ここで時間を作れたことで周りの選手が上がっていく余裕が生まれました。決定的な仕事もできる選手ですが、チーム全体の押し上げを促すプレーは貴重です。
日本も本来はボールポゼッションして攻めたい国。ただ、ボールをつなぐという能力だけに特化するならば、スペインは世界最高峰の実力を持ったチームです。この先厳しい戦いになったとしても、これだけボールを握られるケースはないと思いますし、スペインはどちらかと言えば相性の良い相手でした。
これから先で戦う相手はボールをつなぐことよりも、縦のスピードを生かしてくるチームが多くなるはず。シンプルに裏を狙ってきたり、ロングボールを放り込んでくるかもしれない。そういった展開になった時にどれくらい冷静に対応できるかがポイントになるでしょう。