川口能活の目 大迫は文句なしのMVP、GK目線で感じる失点シーンの選択肢
「複数の要素」が絡み合った失点シーン、GKに求められる瞬時の判断
いざキックオフすると、日本は素晴らしい立ち上がりを披露してくれました。PK獲得と相手選手の退場を誘ったシーンは幸運や偶然ではなく、コロンビアの最終ラインの背後を狙うという意図があったはずです。この先制点によって重圧やプレッシャーから解放されたのは想像に難くありません。どんな形であれ先制点を奪えたことでポジティブな心理状態になれました。
【注目】育成、その先へ 少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信する野球育成解決サイト『First-Pitch』はこちらから
それと同時に、早い時間帯に相手が10人になったのも追い風となり、この試合での日本にピンチらしいピンチはほとんどありませんでした。これだけ被決定機の少ない試合は珍しいと思います。
それでもペナルティエリア付近で狡猾にファウルを誘い、数少ないセットプレーを生かして同点ゴールを決めたコロンビアはさすがでした。直接FKで壁の下を狙うという判断をしたキンテロ選手は素晴らしかったですし、相手を褒めるべきだと思います。
決められてしまった側のGK目線で話をすると、1つだけの問題ではなく複数の要素が絡み合っています。最初にFK地点からの距離と角度を考えてのポジショニング、次にシュートに対して足を運ぶという技術要素、そして最後にキャッチングか弾き出すかという技術と判断が重なる要素がありました。キャッチングは原則的に両手でチャレンジすることになりますが、その場合は距離が伸びにくい。それに対して弾き出す際は左手一本でセービングできるので距離を伸ばしやすい。すべてを瞬時に判断しなければいけないので一概には言えませんが、意表を突くシュートが飛んできた時点で弾き出してCKに逃げるという選択肢もあったかもしれません。
1-1の状況で迎えた後半の分水嶺は、コロンビアがハメス・ロドリゲス選手を投入した場面でした。押しも押されもせぬエースで危険な選手なのは間違いありませんが、コンディションが万全ではなかったようであまり脅威にはなりませんでした。加えて運動量が多いタイプの選手ではないので、日本が主導権を握れるようになりました。