「なぜこんなに余裕がない?」 アジア杯連勝のなでしこ、永里亜紗乃が指摘する違和感
インドで行われている2022 AFC女子アジアカップに参戦しているサッカー女子日本代表が24日に第2戦を迎え、3-0とベトナムに勝利。3連覇の懸かる大会で初戦から連勝し、決勝トーナメント進出を決めた。元日本代表FWで2015年ワールドカップ(W杯)カナダ大会準優勝メンバーの解説者・永里亜紗乃さんは、この試合をどう見たのか、解説してもらった。
アジア杯3連覇へ、ベトナムに3-0快勝も…浮かんできた疑問とは
インドで行われている2022 AFC女子アジアカップに参戦しているサッカー女子日本代表が24日に第2戦を迎え、3-0とベトナムに勝利。3連覇の懸かる大会で初戦から連勝し、決勝トーナメント進出を決めた。元日本代表FWで2015年ワールドカップ(W杯)カナダ大会準優勝メンバーの解説者・永里亜紗乃さんは、この試合をどう見たのか、解説してもらった。
【注目】育成、その先へ 少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信する野球育成解決サイト『First-Pitch』はこちらから
◇ ◇ ◇
ベトナム戦は3-0で勝利しました。でも、率直に言って、「どこを目指しているんだろう?」という疑問が湧きました。アジアで上位には普通にしていて行くはずなんですけど、それより上を目指していくならば、今のこのレベル、パフォーマンスで果たしていいのだろうか? そんな疑問が湧いてしまいました。
個人的に比較するのは好きではありませんが、それでも2011年にW杯で優勝したチームを映像で見ると、今のチームとの違いがはっきりと分かると思います。もちろん、戦術など11年前と今のサッカーは変わってきています。でも、サッカーにおける基本的な部分、止める、蹴る、動き出し、頭を使う部分というのはずっと変わらないものです。そのレベルがあまり高くないと見ていて感じました。
確かに、初戦でのパスが「パン、パン、パン」とつながったゴールシーンを見ていると、うまくなっているなと感じていたのですが、一つひとつの動き出しやロングパスの質、本当に細かいプレーの精度を見ていくと、そこまでレベルは上がっていなかったようです。
正直に言うと、「なんでこんなに余裕なくプレーしているんだろう?」と見ていて感じたんです。その「なんで?」を探していったら、ボールをもらう位置が近かったり、トラップするときに相手を見て、相手に取られない位置でちゃんとトラップしていなかったり、自分が思ったところに無意識でボールを止められていなかったり、そこができていないから余裕を持ってプレーの選択ができていないんじゃないかという結論に至りました。
要は、基礎的なところの止める、蹴るの話です。その1本のパスが速ければ相手が寄せる前に味方が取れるのにとか、しっかりと足元にピタッと止めて周りを見る時間を作れば余裕が持てるのに、というシーンがいくつもありました。しっかりと止める前に、その次を見てしまっているんですよね。そこが空いているから行かなきゃとか、ボールを止めるときに相手がどうなのかではなく、その一つ先を追いすぎなんじゃないかなと感じています。その結果として、しっかり止める、蹴るが疎かになっているんじゃないかなと思っています。
先制点が入るまでの膠着した戦況のなかで、相手との1対1の状況で、相手より自分の技術が上回っていたらいくらでも剥がす術ってあると思うんです。動き出しの駆け引き、トラップする前の駆け引き、トラップでも剥がせるし、パスでマークにつかれないところに裏を取るとか、いくらでも剥がし方ってあると思うんですけど、それができていなかった。あれだけベトナムがマンマークで来ていて剥がせないということは、もう戦術以前の問題なんじゃないかなと思います。