涙の日本4位、遅すぎたラストピースの発見 松井大輔「三笘薫が2列目左の答え見せた」
悪い結果ではない国際大会の4位、未来のためには厳しい目も必要
それを最後の最後に表現してくれたのが三笘薫選手でした。得意のドリブルで違いを作ってゴールも決め、大会を通してレギュラーが定まらなかった2列目の左の答えとなるパフォーマンスを見せてくれました。負傷の影響もあってコンディションが整わなかったのかもしれませんが、ラストピースを見つけるのが遅すぎたのが悔やまれてなりません。
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三笘選手に限らず、出場機会が少なかった選手たちは悔しい思いをしたはず。それを今後のサッカー人生で見返してほしい。内田篤人は2010年ワールドカップ南アフリカ大会のメンバーに選ばれたけどピッチには立てず、香川真司選手は23人のメンバーにも入れなかった。だけどW杯後に海を渡って実績を積み、その後の日本代表を支える選手になりました。そういった道を今回の選手にも辿っていってほしい。
チームとしても、メキシコから学ぶべきものは多かったと思います。彼らはグループリーグで日本に負けていることもあり、まず日本の良さを消すサッカーをしてきました。一方で日本は愚直なまでに自分たちのサッカーを貫こうとしましたが、それを毎試合やるのは簡単ではないということ。グループリーグと決勝トーナメントの戦い方の違いで、W杯や五輪で日本が壁にぶち当たっている部分です。
五輪という国際大会で4位ですから、悪い結果ではありません。ただ、日本サッカーがさらに成長するためには「よく頑張った」や「惜しかった」で終わらせてはいけないのも事実でしょう。2012年のロンドン五輪で4位という成績に終わり、今回の3位決定戦は日本の成長を示すための舞台でもありましたが、結果として今回もメダルには手が届かなかった。
素晴らしいプレーと戦いを見せてくれたことに感謝しつつも、日本サッカーの未来を考えると厳しい目が必要かもしれません。ブラジルやスペインといった強豪国は常に国民の目がプレッシャーとなり、強くあり続けなければいけない理由になっています。日本も欧州でプレーする選手が増え、彼らはクラブレベルで常にそういったプレッシャーと戦っているはず。だから日の丸を背負って戦う彼らにも、敢えて厳しい目を向けることが次のステージへ進む一歩目になると思います。
9月には来年開催されるカタールW杯に向けた最終予選が始まります。この悔しさや反省を生かす舞台はすぐにやってくる。日本が世界の強豪国の仲間入りを果たすために、ファンやメディアは厳しい目で温かく見守ることが重要になるのではないでしょうか。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)