3連勝日本、ガチンコ決勝Tの鍵は「2列目の左」 松井大輔「個で打開できる選手が最適」
自信と余裕が生まれた日本代表「メダル獲得の可能性はかなり高い」
フランス戦であえて課題を挙げるとすれば、酒井宏樹選手が通算2枚目の警告を受けてしまったことだけでしょう。それ以外は主力選手の温存や次のラウンドを見据えた選手起用や配置変更など、この試合での勝利を目指すと同時にできる限りの準備も整えられた。森保一監督のマネジメントと選手のパフォーマンスの両方が素晴らしかったです。
【注目】育成、その先へ 少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信する野球育成解決サイト『First-Pitch』はこちらから
どの国、チームも勝利を重ねることで自信と余裕が生まれます。例えば、次の試合で1点を先制されても「自分たちのプレーをすれば巻き返せる」という精神状態を保てる。もし相手に主導権を握られる時間帯になっても「やらせておいて問題ないよ」と涼しい顔で構えていられる。いい形で連勝して積み上げてきた自信は、第3戦のフランス戦を4-0で勝ったことで、さらに2~3倍に膨れ上がっていると思います。
決勝トーナメントは言うまでもなく一発勝負なので、力を出し惜しみすることなくガチンコで勝利だけを目指す戦いになります。そこで重要なのは調子の良い選手を起用することでしょう。
例えば、久保選手は誰がどう見ても絶好調でノリに乗っています。ここは素直に久保選手にボールを集め、フィニッシャーとして引き続き能力を発揮してもらう形がベストです。堂安選手と近い距離でプレーさせるためにも、2列目の左には個で打開できる選手を配置するのが最適なバランスだと感じます。
守備に関しては、吉田麻也選手と冨安健洋選手の両センターバックがチームに落ち着きをもたらし、その前方の遠藤航選手と田中碧選手も素晴らしい働きを見せています。後ろの選手があれだけ落ち着いてプレーしてくれていれば、前線の選手はオフェンスに専念できるはず。これはオーバーエイジを選ぶ段階からしっかりとしたビジョンを持っていた賜物だと思います。
油断は禁物ですが、今のチーム状態を考えるとメダルを獲得できる可能性はかなり高いはず。1968年のメキシコ五輪以来となるサッカー男子のメダル獲得を成し遂げるとしたら、この東京五輪しかありません。選手たちにはしっかりリカバリーしてもらい、31日のニュージーランド戦ではメダルにさらに近づく勝利を手にしてもらいたい。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)