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メルセデスがほぼ2球種で侍打線を抑えられたワケ「日本を日本的な投球で苦しめた」

ピッチングストラテジストの内田聖人氏【写真:荒川祐史】
ピッチングストラテジストの内田聖人氏【写真:荒川祐史】

自分の自信がある球を極めれば、試合を作ることができる

 高校生に指導をさせてもらう機会がありますが、高校野球でも2、3球種でカウントを取れるパターンと三振を取りに行くパターンを作り、バランスよく投げられている投手は試合展開が早く、楽にアウトを取れている印象。かなりレベルが高い投球になります。

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 ドミニカ共和国出身ですが、巨人の育成時代を含め、日本で5年以上プレーし、NPBのいろんな良い投手の中で育ち、投球スタイルが作られた。もともと持っていた能力に加えて日本人の良さが生かされたドミニカ共和国と日本のハイブリッド型投手かもしれません。

 今は多彩な球種を操る投手の活躍が目立ちます。もちろん、球種が多いに越したことはない。しかし、日本的かもしれないですが、自分の自信がある球を極めれば、試合を作ることができる。この日は基礎・基本の投球をエラーすることなくやり通した最高の例だと思います。

 最後に。子供たちにコントロールの良い投手になる上で大切にしてほしいことがあります。それは、いろんな投げ方を試してみること。

 例えば、投球でオーバースローという形にこだわりすぎず、守備に就いた時には遊びでいろんな形を試してみる。そういう“投げるセンス”は子供のうちに磨かれる。投球動作やリリースを突き詰めるのは、高校生からでも十分。早くに引き出しを多く持つことが将来にきっと生きます。

 五輪という舞台で、いろんな学びを与えてくれるメルセデス投手の投球でした。

■内田聖人 / Kiyohito Uchida

 1994年生まれ。早実高(東京)2年夏に甲子園出場。早大1年春に大学日本一を経験し、在学中は最速150キロを記録した。社会人野球のJX-ENOEOSは2年で勇退。1年間の社業を経て、翌19年に米国でトライアウトを受験し、独立リーグのニュージャージー・ジャッカルズと契約。チーム事情もあり、1か月で退団となったが、渡米中はダルビッシュ有投手とも交流。同年限りで指導者に転身。昨年、立ち上げたオンラインサロン「NEOREBASE」は総勢400人超が加入、千賀滉大投手らプロ野球選手も多い。個別指導のほか、高校・大学と複数契約。自身も今年自己最速を更新する152キロを記録。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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