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メルセデスがほぼ2球種で侍打線を抑えられたワケ「日本を日本的な投球で苦しめた」

「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる様々な“見方”を随時発信する。多くのプロ野球選手も加入するパフォーマンスオンラインサロン「NEOREBASE」主宰、ピッチングストラテジストの内田聖人氏は今大会、投手の“球”を独自に解説。金メダル獲得を目指す侍ジャパンは28日の1次リーグ初戦・ドミニカ共和国戦に4-3で逆転サヨナラ勝ちしたが、苦しめたのは相手先発C.C.メルセデス投手だった。巨人の育成出身左腕は7回途中3安打1失点7奪三振。6回までわずか1安打に封じ込めた。なぜ、侍ジャパンは捉え切れなかったのか。(取材・構成=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

日本戦に先発したC.C.メルセデス【写真:Getty Images】
日本戦に先発したC.C.メルセデス【写真:Getty Images】

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#32

「THE ANSWER」は東京五輪の大会期間中「オリンピックのミカタ」と題し、実施される競技の新たな知識・視点のほか、平和・人権・多様性など五輪を通して得られる様々な“見方”を随時発信する。多くのプロ野球選手も加入するパフォーマンスオンラインサロン「NEOREBASE」主宰、ピッチングストラテジストの内田聖人氏は今大会、投手の“球”を独自に解説。金メダル獲得を目指す侍ジャパンは28日の1次リーグ初戦・ドミニカ共和国戦に4-3で逆転サヨナラ勝ちしたが、苦しめたのは相手先発C.C.メルセデス投手だった。巨人の育成出身左腕は7回途中3安打1失点7奪三振。6回までわずか1安打に封じ込めた。なぜ、侍ジャパンは捉え切れなかったのか。(取材・構成=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

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 ◇ ◇ ◇

 メルセデス投手は日本を日本的な投球で苦しめた。そんな印象でした。

 何よりもコントロールが抜群でした。ストレートとスライダーを中心に右バッターにたまにチェンジアップを投げるスタイル。ストレートは内外と高低に狙って散らばせ、スライダーは徹底して低めに投げる。自分のピッチングの特長をほぼ完璧に生かしていました。

 主体となるスライダーが特徴的です。今はカット系の強いスライダーを投げる投手が多く、それを高めに効果的に使う投手が増えている。この日、投げ合った山本由伸投手のようにパワー系の球でストライクゾーンで勝負できる投手の活躍が目立ちます。

 そういうトレンドの中で、メルセデス投手はいわゆるスラーブに近く、しっかりと曲がる、昔ながらのスライダー。その分、ストライクからボールにコントロールすることが鍵になる球ですが、完璧に操れていました。珍しいとまでは言わないですが、面白い投手です。

 普段から対戦しているはずの日本打線が手玉に取られたというのは、それだけ打てる球がなかったということ。

 中高生の参考になるのは、ほぼストレートとスライダーの2球種で抑えた点です。スライダーと対になる軌道のチェンジアップを持っていることも大きいですが、メルセデス投手のように怪我をしないところに投げれば、国際舞台で日本代表を抑えることができる。

 失投を避けようという意識を持つと、アマチュアレベルで多いのが四球を連発してしまい、投球が崩れること。しかし、コントロールを乱さず、簡単に打てる球を投げなかったことが、ほぼ2球種で抑えられた要因に感じます。

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