WBC決勝、リリーフの大谷が栗山監督へ「大丈夫です。自分でやります」

　野球のワールド・ベースボール・クラシック（WBC）は21日（日本時間22日）、米マイアミのローンデポ・パークで決勝が行われ、日本が米国を3-2で撃破した。前回王者との頂上決戦に臨み、2009年第2回大会以来14年ぶり3度目の世界一。ダルビッシュ有投手から大谷翔平投手の夢の継投が実現し、最後はマイク・トラウト外野手との同僚対決で空振り三振を奪った。世界最高レベルの攻防を繰り広げた両国。栗山英樹監督も歓喜に浸った。

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　夢を叶えた栗山監督は胴上げされた。ナインに掲げられて10回。笑顔で舞った。感無量の面持ちでインタビューに答えた。

「選手たちが本当に嬉しそうな顔をしていた。それが嬉しかった。最後の瞬間に翔平とトラウトの形になるのは野球って本当凄いなと。（大谷登板は）18日の練習で本人に話した。スケジュール見た時、時差のある中4日で彼らが行けるか考えて、敢えて一切アプローチしない。勝ちたいと思った時に彼らがアプローチしてくれると思った」

　3-2のまま迎えた運命の9回。大谷が2死からエンゼルスの同僚トラウトを迎えた。フルカウントからの6球目にスライダーで空振り三振。15球に魂を込めた大谷は絶叫した。ベンチに向かってグラブと帽子を投げ捨てて興奮を表した。ナインがマウンドに駆け寄り、侍たちが喜びを爆発させた。

　大谷がMVPを受賞。表彰式では優勝トロフィーを掲げ、ナインが待つ壇上へ上がった。重たそうに笑顔で掲げる二刀流。紙吹雪の中、チーム全員で歓喜の雄叫びを上げた。大谷は恩師の栗山監督にトロフィーを手渡し。集合写真で満面の笑みを浮かべた。

　会見では、1月に「『優勝するなら抑えのイメージはこの投手』とイメージがある」と話していた。大谷のことだったのかと問われ、「想像にお任せします」とコメント。最後の打者がトラウトになったことをこう振り返った。

「今日の試合はあのまま終わらないんだろうなとずっと考えていた。（対トラウトになると思ったのは）ダブルプレーを獲ってから。このまま勝ち切らせてあげたいというそれだけだった。これで終わってくれと願っているところ。皆さんが思うよりギリギリで、次がトラウトだとか考える余裕はなかった」

　大谷の登板について「翔平のブルペンはタイミングが難しかったけれど、『大丈夫です。自分でやります』と言ってくれた」と説明した。愛弟子・大谷らとともに掴んだ世界一。重圧を乗り越えた栄冠だった。