3万6000人が不穏な空気に プエルトリコ守護神負傷、監督&同僚も沈痛「大きな痛手」
野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は15日(日本時間16日)、フロリダ州マイアミで1次リーグD組が行われ、プエルトリコが優勝候補に挙げられていたドミニカ共和国を5-2で破り、3勝1敗として準々決勝進出を決めた。激戦のD組で、2勝1敗で2位に並んでいたライバルとの一戦を制し、4戦全勝のベネズエラとともに2位で突破。スリリングな勝利に満員の3万6025人が詰めかけたスタジアムに歓喜の輪が広がったが、長くは続かなかった。
WBC1次リーグD組、プエルトリコがドミニカ下すもディアス負傷
野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は15日(日本時間16日)、フロリダ州マイアミで1次リーグD組が行われ、プエルトリコが優勝候補に挙げられていたドミニカ共和国を5-2で破り、3勝1敗として準々決勝進出を決めた。激戦のD組で、2勝1敗で2位に並んでいたライバルとの一戦を制し、4戦全勝のベネズエラとともに2位で突破。スリリングな勝利に満員の3万6025人が詰めかけたスタジアムに歓喜の輪が広がったが、長くは続かなかった。
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3点リードで迎えた9回。メッツ守護神のE.O.ディアス投手が3連続三振で力強く締めくくった。だが、その直後に同投手は右膝を負傷し、両脇をかかえられながら去った。場内は歓喜から一転、不穏な空気に包まれた。弟のA.ディアス投手(レッズ)が涙を流すなど、選手らは一様に心配そうな表情を浮かべていた。
試合後、「2番・中堅」で出場したE.ヘルナンデス(レッドソックス)はクラブハウスの雰囲気について「静かだった。ドミニカ共和国を倒して1次リーグ突破を決めたような空気ではなかった」と沈痛の面持ちで話した。元オールスター捕手のモリーナ監督も「最初は何が起きたのか分からなかったし、驚いた。コーチらとベンチで祝福していたんだ。ハードワーカーとして知られる彼がグラウンドに倒れこむ姿を見てとても悲しくなった」と声を落とした。
プエルトリコとドミニカ共和国はカリブ海の隣に位置する隣国で、文化や食事面でも共通項が多い。15日(同16日)の試合前には両国のファンが一緒に音楽に乗って踊っている姿も見られた。2勝1敗同士で勝った方が突破を決める大一番。お祭りムードは、スター選手の負傷というアクシデントにかき消された。
2度のオールスター選出を誇り、メッツで昨季32セーブを挙げた右腕はプエルトリコのリーダー的な存在だった。この日の決戦前夜にはチームメートを集めて食事会を主催したという。ヘルナンデスは「リーグ屈指のクローザーというだけでなく、素晴らしい人間。このチームにとってはとても大きな存在だった。彼にこのようなことが起きたことはとても残念。チームにとっては大きな痛手だ」とショックを隠せなかった。
28歳の右腕はオフに救援投手として史上最高額となる5年総額1億200万ドル(約150億円)で契約延長したばかり。所属球団のメッツは、E.O.ディアスが16日(同17日)に精密検査を受けると発表した。
ヘルナンデスが「国を代表して戦うことは最高の経験」と話すように、WBCで戦う選手のモチベーションは高い。ディアスは自らの過失による負傷ではあるが、レギュラーシーズンに向けた調整時期にある選手にとってはけがのリスクが隣り合わせである事実を改めて突きつけられた。準々決勝進出を決めたプエルトリコは、精神的支柱の負傷というアクシデントを乗り越えることができるのか。
(THE ANSWER編集部)