「行け!宇都宮バッテリー!」 慶応の背番号9と24、ハマスタ決勝で組んだ特別な3イニング
高校野球の春季神奈川県大会は6日、決勝(横浜スタジアム)で今春センバツ出場の慶応が相洋を11-0で圧倒し、2011年以来の12年ぶり5度目の優勝を飾った。6回から背番号24の小宅雅己投手と背番号9の加藤右悟捕手(ともに2年)が出場。同郷・栃木出身で中学時代は同じボーイズでバッテリーを組み、全国制覇を達成した2人で、この日は3イニングを無失点に抑えた。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)
THE ANSWER編集部・新人カメラマンの高校野球フォトコラム
高校野球の春季神奈川県大会は6日、決勝(横浜スタジアム)で今春センバツ出場の慶応が相洋を11-0で圧倒し、2011年以来の12年ぶり5度目の優勝を飾った。6回から背番号24の小宅雅己投手と背番号9の加藤右悟捕手(ともに2年)が出場。同郷・栃木出身で中学時代は同じボーイズでバッテリーを組み、全国制覇を達成した2人で、この日は3イニングを無失点に抑えた。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)
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とにかく、心から楽しそうな表情だった。
8回、相洋の1番打者がファウルグラウンドにフライを打ち上げた。捕手の加藤はすぐにマスクを捨て、追いかけて捕球。本塁のカバーに入った投手の小宅がそれを拾い、手渡した。一言二言、言葉を交わす。2人は笑顔。試合以外でも笑う印象が強いが、特にワクワクが抑えられない様子だった。
「行け! 宇都宮バッテリー!」。試合中、カメラマン席のすぐ隣の一塁ベンチからこんな声援が飛んだ。
ともに栃木出身。中学時代は同じボーイズでバッテリーを組み、全国優勝も経験。慶応には2人で相談し、そろって越境入学した。しかし、全国屈指の激戦区・神奈川の強豪校の壁は厚く、現在は先輩の渡辺憩(3年)が正捕手。加藤が出場する時は主に外野で、扇の要とは最も遠い場所を守っている。
「こだわり、結構あります。本当(のポジション)は捕手」。センバツ前に言っていた加藤の言葉を思い出した。
尊敬する背番号2の先輩について「憩さんに全部負けている。ずっと参考しています」と加藤は言う。今回は渡辺が故障した場合を想定し、森林貴彦監督が起用した「宇都宮バッテリー」。しかし、春の神奈川の頂をかけたハマスタで実現したコンビは、本人たちにとって意義深い時間になったに違いない。
背番号「9」と「24」の2年生バッテリーは、スコアボードにきっちりと「0」を3つ並べた。大きな声で本塁から声を掛ける加藤。3アウトを取るたびに声を上げ、ベンチに勢い良く帰ってくる小宅。バッテリーで出場する喜びが、ファインダー越しにもひしひしと伝わってきた3イニングだった。
(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)