若き日の苦悩― 絶対王者フェデラー、ジュニア時代の「ナイーブ」な自分を告白
親友相手の勝利には苦々しさ…「彼のキャリアにとって重要な試合になるはずだった」
フェデラーと同い年で同郷のマルコ・キウディネッリは、現在ダブルスで世界ランキング170位。シングルスでは2010年2月に記録した52位が最高で、目立った戦績は残こせていない。フェデラーが負けていれば、親友の栄光や躍進につながる可能性があった2試合の勝利には苦々しさが残っているようだ。
さらに、記事によれば、ジュニア時代は自分よりも練習で努力している選手に申し訳なさを感じることもあったという。
「もしかすると、彼は私よりも努力している。だから、もっと良い成果を手にするにふさわしいという感情だったのかもしれない。そして、実際に自分が負ければ、最悪な気分になる。そういう“罠”に陥ってしまうほど、自分は愚かだったんだよ」
フェデラーは若き日の「ナイーブな自分」をこう振り返っている。
「そこから自分がツアーデビューしてからは、自分はただベストを尽くしてプレーすること、それだけを考えている。全てが落ち着いていれば、試合後にはコーヒーも飲みに行けるんだ。そういう時には相手を同情したいなんて思わないんだよ」
コート上では相手に容赦を見せず、華麗なショットで相手の息の根を止める。今年、全豪オープンとウィンブルドンを制覇したフェデラーの「流儀」は、ジュニア時代の甘さとの決別が根源なのかもしれない。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer