桃田賢斗、快挙の裏で… 2つの“勝ちたかった理由”「育ててくれた福島のために…」
特別な日につかんだ特別な勝利
勝利を呼び込んだのは、以前から得意としていたネット前のショットと、出場停止期間から見直してきたフィジカル強化の成果だった。桃田は「第2ゲームで相手に完全にペースを奪われて、ファイナルの出だしも『もうダメかな』というところまで追い詰められたけど、開き直って(ネット前から)ネット前のヘアピン(ショット)を踏みこむことで試合の流れが変わった。相手より自分の方がまだ動ける自信はあった。消極的になって踏み込みが浅くなっていたので(体力の消耗を考慮して)躊躇している場合ではないと思い、思い切り行った」と試合を振り返り、勝因を挙げた。
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優勝を決めた3月11日は、東日本大震災が起きた日。震災時はインドネシアへ渡っていたが、福島県の富岡高に在学中だった。「まだ復興されていない所もある中、自分を育ててくれた福島県のために、少しでも頑張っている姿、勝つ姿を見せることは大事なことだと思っていたので、少しは表現できたのではないかと思う。(富岡高バドミントン部が富岡町で被災後、猪苗代市に活動拠点を)移転後も何も不自由なく生活させてもらったので、福島県の皆さんには感謝している」と、いまだ元通りの生活を送ることのできない被災者がいる現状を踏まえ、感謝の意を示した。
すべての出来事を、前に進む力に変えて進む。今後は、4月2日に開幕するマレーシアオープン(BWFワールドツアースーパー750)に出場予定。5月からは、2020年東京五輪の出場権獲得レースが始まり、1年間を通じて獲得したポイントを争う。東京五輪の開幕まで500日。新たな偉業も、さらなる進化のエネルギーとなる。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)