オリオールズ移籍の藤浪、完全試合達成ブレイデン氏が語った変化とは

　米大リーグ・アスレチックスの藤浪晋太郎投手が19日（日本時間20日）、オリオールズにトレードで移籍すると発表された。先発ローテの一員として開幕を迎えるも、制球難からリリーフに配置転換。それでも7月は7登板中6戦で無失点、11試合連続四球ゼロと最近は見違えるような安定感を披露していた。かつて完全試合を達成したアスレチックスOBは「THE ANSWER」の現地インタビューに応じ、リリーバー藤浪を「今、メジャーの打者を支配している」と大絶賛した上で、デビューイヤーのエンゼルス大谷翔平投手に喩えていた。

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「今のフジは凄い。メジャーで通用するかどうかという問題じゃない。ピッチングでメジャーの打者を支配しているんだ」

　現在好調の藤浪を称えたのは、ふさふさと蓄えたヒゲがトレードマークのダラス・ブレイデン元投手。2010年5月9日に史上19人目の完全試合を達成したアスレチックスOBで、現在は地元テレビ局「NBCスポーツ・ベイエリア」で解説者を勤めている。

　メジャーデビュー直後は制球難から4試合で自責点24と炎上を繰り返し、中継ぎに配置転換となったが、6月以降は復調。現在は11試合連続無四球を続けており、7月の防御率は2.25。4月のWHIPは2.17だったが、今月は0.50と覚醒モードに入っている。

「彼は自分のボールの持つ力を理解したのではないか。フジには連続した成功体験が必要だったが、ついに自信を手にしたんだと思う。マウンドを降りる際のボディランゲージを見れば感じるものがある。デビュー直後は神経質な様子だったが、今はマウンド上で漂わせる雰囲気がすごくポジティブだ。フィストバンプに気合の叫び声。今のフジがいいよね。自信が大きな問題だったが、今のところ大きな問題は解消された雰囲気だ」

　中継ぎで結果を出し続けたことが藤浪の精神面の充実に繋がっていると、好調に転じた要因を分析したブレイデン氏。リリーバー藤浪はメジャーの強打者をも封じる強力な武器があると指摘する。

「フジはスプリットとファストボールのコンビネーションでメジャーの打者を支配している。高速スプリットは最速で95～96マイル（約152～155キロ）でかなりの脅威だ。だが、そこまで力まず92～93マイル（約148～150キロ）のスピードでも、落差が凄いので打者は打てない。ファストボールが102マイル（約164キロ）で膝下に決まる上に、スプリットは打者の視界から完全に消えてしまう。強打者としてもどうしようもないし、対応困難だろう」

　こう語ったアスレチックスのレジェンドは、覚醒モードの藤浪と、かつてライバルと呼ばれた大谷のデビューイヤーを重ねていた。

「ライバルと呼ばれていたことは知っている。最近のフジは1年目のオオタニを想起させる。投手オオタニのメジャーデビューをこのスタジアムで見たが、彼は低めのファストボールと低めからボールゾーンに沈むスプリットでねじ伏せていた。打者としては完全にノーチャンスだったが、それは今のフジと同じ。ノーチャンスだ」

　2018年4月1日（同2日）の敵地アスレチックス戦で6回3安打3失点、6奪三振のピッチングでメジャー初勝利を挙げた大谷。続く8日（同9日）の本拠地アスレチックス戦では7回1安打無失点、12奪三振の躍動を見せていた。当時は160キロを超えるファストボールと、魔球スプリットで打者をねじ伏せていたが、ブレイデン氏は現在の藤浪との共通点を指摘していた。