激闘を制して誕生した“小さな”王者たち 【加藤未央のダノンネーションズカップ取材記~2日目】
「山梨の代表」として世界へ
表彰される時になってやっと、甲府の子どもたちから満面の笑みが見られた。7番の保竹駿斗くんは、これ以上の笑顔はないというほどに顔をくしゃくしゃにさせて、「信じられない」と漏らす。3番のキャプテン、志村ぼんくんからは「大会に出る前から絶対に優勝するっていう気持ちがあって。ダノンネーションズカップでは決勝まで行ったことがなかったし、世界大会にも行きたいって思ってたし、監督に優勝をプレゼントしようぜってみんなで話してました」と、試合前の気合いが伝わってきた。
子どもたちによって優勝監督になった西川監督に、この大会を通して一番思い出に残っていることを聞いてみると、こんなことを話してくれた。
「大会1日目の初戦、うちのチームは3-1で勝ったんですけど、試合後にみんなが泣き出して。失点したことに対して個々が納得できなかったからでした。普段泣かない子も泣いていてビックリしましたね」とその時の様子を振り返る。
甲府の子どもたちは、体が小さな子が多い。「本当にもう、なぜか分からないんですけど、小さい子が多いんですよね」と監督も言うほどに、それは甲府にとって伝統的なことのようだ。ただ、その小さな戦士たちは今日、日本一のチームになってそのタイトルを地元の山梨へと持ち帰る。
「世界に行くってなったからには、日本の、というか山梨の代表として、結果を残して世界に名前を刻みたいと思います!」
キャプテンの志村くんは、しっかりと前を見据えて力強く宣言した。
【了】
加藤未央●文 text by Mio Kato
ダノンネーションズカップ2016●写真 photo by DNC2016