WBCオランダ守護神、圧巻投球も9球で降板 続投阻んだドジャースとの「約束」
「ドジャースとの取り決めだった。1イニングを超えて投げさせるつもりはなかった」
ミューレンス監督はこの質問に「何球投げたかにかかわらず1イニングだけしか投げられない約束だった。彼は9球を投げた。素晴らしかったよ。彼は卓越していた。でも、ドジャースとの取り決めだったんだ。1イニングを超えて投げさせるつもりはなかった。だから、彼をマウンドから降ろさなければいけなかった。ルールはルールだから」と答えている。
結果的にファンミルは10回の1イニングを無失点に抑えた。仮にジャンセンを続投させても、延長11回まで引っ張れば30球以上に達する可能性が高いため、2イニングで降板となっていた可能性も高い。走者を背負ってスタートするタイブレークとなれば、全く違う要素も出てくる。そして、9回からジャンセンを投入した采配についても議論の余地があるだろう。
シーズン前に開催されるWBCと、シーズンの最後に行われるポストシーズンとでは状況が違うため、ドジャースとの「約束」も仕方ないものかもしれない。もっとも、マリナーズの守護神ディアスを10回から投入したプエルトリコが、11回も続投させて無失点に抑え、勝利をもぎ取ったという事実もある。
試合の結果にどのような影響があったかは、すべて推測で語ることしかない。ただ、ジャンセンの圧巻の投球にはオランダに試合を流れをぐっと引き寄せるだけの“力”があった。10球目以降があれば…と思わせる内容だったことは確かだ。
ミューレンス監督は、タイブレークでの敗戦を「我々はそのルールに適応する必要がある。でも、このような負け方をするのはつらいね」と振り返った。2大会連続での4強入りという好成績を残したが、初の決勝進出にあと1歩まで迫っただけに、その声には無念さが滲んだ。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer