ジーター氏から見るイチローの凄さ 「見過ごされてしまいがち」な能力とは
キャプテンの胸に今も刻まれる残るエピソードとは
「ベースボールは彼にとっては単なるスポーツ以上のものだ。彼は野球をするために生まれてきたのだ。最も印象的なことは、彼は42歳だが、故障者リスト(DL)に入っていたという記憶がないことだ。素晴らしい自己管理を続けている。野球に対して、いつまでも完成することのない作品を作り続けるようなアプローチを継続しているのだ」
ジーター氏はこう綴っている。実際、イチローは2009年シーズン序盤に胃潰瘍でDL入りしてはいるが、そのキャリアで故障による長期離脱はない。徹底した自己管理や変わることのない日々のルーティン、究極の打撃技術を求めてやまない求道者の姿が、同氏の目には「一貫性」の体現者と映ったようだ。
「彼には野球から離れる“オフ”という概念がないように思える。これは彼のライフワークなのだ。誰も見ていないところでのハードワークから常にスタートする」
こう言及したジーター氏はコラムの中で、2014年10月の現役引退の数日後、ヤンキースタジアムのロッカー整理に赴いた際のエピソードを紹介している。
当時、プレーオフ出場を逃したヤンキースの静まり返ったスタジアムには数人のスタッフしかおらず、選手はバカンスに出かけていた。その中でイチローは打撃練習を行っていたという。「数日でも休めばいいのに」。ジーター氏はイチローのあまりにブレない一貫性に、心の中でこうつぶやいたと振り返っている。
誰もが認める超一流の名手を感服させるイチローの「一貫性」。それこそが一流の秘訣なのかもしれない。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images