五輪のカーリング投球違反はなぜ大騒動に? ファンの違和感…“証拠拡散”が揺さぶる「カーリングの精神」
ミラノ・コルティナ五輪のカーリングで投球時の違反を巡る事案が発生し、審判体制変更にまで発展した。背景にあるのは「カーリングの精神」と、映像とSNSが可視化するスポーツ環境の摩擦だ。統括団体である世界カーリングの対応にも苦慮がにじむ。

カーリングの「審判」の役割は?
ミラノ・コルティナ五輪のカーリングで投球時の違反を巡る事案が発生し、審判体制変更にまで発展した。背景にあるのは「カーリングの精神」と、映像とSNSが可視化するスポーツ環境の摩擦だ。統括団体である世界カーリングの対応にも苦慮がにじむ。
発端は13日(日本時間14日)の男子1次リーグ・カナダ―スウェーデン戦。カナダの投球者がストーンを離した後、ホグラインを越えて再接触する「ダブルタッチ」の反則があったとして、スウェーデン側が申告した。認めないカナダ側が応酬し口論に。その発言内容が国際中継に拾われ、複数の海外メディアが報じたことで騒動に発展した。
ここで、多くのスポーツファンが気になるのは審判の役割だ。普通なら「違反があったかどうか、審判が判定すればいいのでは」と違和感を抱くだろう。しかし、カーリングには「カーリングの精神」と明文化された理念がある。フェアプレー、敬意、自己申告を尊重するもので、国際大会でも審判は配置されているものの、競技中は選手間の申告と協議が重視される。
しかし、今回の問題を受け、13日(同14日)の夜の部から審判2人が巡回して監視を強化することに。翌14日(同15日)の女子のカナダ―スイス戦、男子の英国―ドイツ戦でも同様の事案が確認され、実際に反則を取られたカナダの女子選手は審判の介入に不快感を示した。
その後、各国の代表責任者との協議を経て、15日(同16日)の夜の部からは対戦チームから申告があった場合、積極的に監視する方式に変更された。事実上、監視強化は撤回。自己申告を重んじる「カーリングの精神」を守りながら、公正な競技を成り立たせる苦慮がにじんだ。
これだけ騒動が大きくなった背景には「SNS時代」の影響もある。国際映像ではスロー再生や拡大によって微細な動きまで可視化される。今回は“証拠”とされる映像の切り抜きや動画がSNSユーザーによって拡散され、議論は過熱。カーリングになじみのない層の目にも留まり、インプレッション数が増えることで、炎上の火力はより強くなっている。
もちろん、違反は許されるべきものではない。スポーツ界では映像判定の導入も進む。一方で、その競技ごとに育んできた文化や精神もまた尊重されるべきものだ。オリンピックという世界の注目が注がれる舞台で、カーリングは“精神”と“可視化”のはざまで難しい対応を迫られている。
(THE ANSWER編集部)
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