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運動技能も睡眠により向上 ジュニア世代の成長・発達に重要な「眠活」後編

重要となる「朝食」

(2)夜の照明

 眠る1時間前から部屋の明かりを暗くすることは、眠りのホルモン「メラトニン」分泌を妨げないようにするためであり、精神的な鎮静化を図るために重要です。特に昼光色の蛍光灯やLEDに多く含まれている青い波長はメラトニンの分泌抑制作用が強いので、夜間は暖色系の電球、間接照明が、睡眠には効果的です。

(3)入眠前のモニター

 パソコン、ゲーム、携帯電話などのモニターは、光の刺激だけでなく、視聴、操作することで大脳を活性化させるので、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。夜の9時以降は控えることが望ましいでしょう。どうしてもやりたいというのなら、早起きしてやるようにすればよいと思います。朝なら、モニター操作は脳の活性化にも役立ちます。

(4)朝食が大事!

 朝食は体のリズムを整えるだけでなく、セロトニン(元気のホルモン)やメラトニン分泌に重要です。朝食で摂取した必須アミノ酸のトリプトファンは、昼間はセロトニンにまで合成されて人を活動的にします。そのセロトニンは、夜になって暗くなると、メラトニン(眠りのホルモン)にまで合成され、睡眠が導かれます。

 朝食には必須アミノ酸のトリプトファンを多く含む、卵や納豆、焼き魚等のタンパク質を取ることが大切です。忙しい時でも、パンに加えて、ゆで卵、牛乳等を摂取すると元気に活動でき、よく眠れます。静岡県の小中学生に、朝食の品数と「夜10時前に眠りますか」と聞いたところ、朝に3品以上食べている子どもは、10時前に眠る比率が41%であったのに対し、2品以下の子どもでは15%と明らかに低値でした。タンパク質を含むバランスの取れた朝食が眠りには大事なのです。

 睡眠は大脳の進化とともに発達してきました。睡眠は疲れた脳を休めるだけでなく、「脳を創る」、「脳を育てる」、「脳を守る」、「脳を修復する」という大切な役割を果たしています。ヒトは、人生の1/3を眠って過ごします。昔から「寝る子は育つ」、「果報は寝て待て」、「一晩寝かせる」と言われてきたように、眠りにはさまざまな効用があります。今夜から、家族で30分早く眠ることをお勧めします。それだけでも、すっきりと充実した生活を送れるようになります。

※参考資料
○宮崎総一郎,原田哲夫:伸びる子どもの睡眠学,恒星社厚生閣(2009)
○宮崎総一郎:脳に効く睡眠学,角川SCC(2010)

記事提供:スポーティーライフ

【了】

スポーティーライフ編集長 島野聖大●文 text by Sporty Life
フォトライブラリー●写真 photo by photolibrary

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宮崎 総一郎

中部大学生命健康科学研究所教授

1979年3月 秋田大学医学部卒業、1985年3月 秋田大学大学院博士課程修了、1992年3月 国立水戸病院耳鼻咽喉科 医長、1998年9月 秋田大学耳鼻咽喉科 助教授、2004年4月 滋賀医科大学睡眠学講座 特任教授、2009年9月 日本睡眠教育機構 理事長、2012年4月 放送大学 客員教授併任、現在に至る。

専門は鼻呼吸障害と睡眠、睡眠時無呼吸症候群、睡眠教育。現在、睡眠健康指導士Rの育成と睡眠障害の包括的医療、睡眠学の啓発活動に学内外で取り組む。著書に「伸びる子供の睡眠学」(恒星社厚生閣)、「睡眠のトリビア」・「睡眠のトリビア2」(中外医学社)、「徹夜完全マニュアル」(中経出版)、「病気の原因は『眠り』にあった」(実業之日本社)など多数。

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