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慶大の難関・総合型入試合格 在学中に金メダル「勉強は嫌いじゃない」3学年上の内容を兄妹で競った文武両道の礎――フェンシング・飯村一輝

スポーツ界も「文武両道」というフレーズが飛び交うようになって久しい。パリ五輪のフェンシング男子フルーレ団体金メダルに貢献した21歳・飯村一輝(セイコー)は、それを今、最も高い次元で体現するアスリートの一人だ。現役の慶大3年生。フェンシング五輪メダリスト・太田雄貴を育てた父・栄彦さんの指導で15歳にして日本代表入りして国際舞台で活躍する傍ら、幼稚園から始めた児童向け学習塾で3学年上の学習内容をこなし、遠征の隙間時間を縫った勉強スタイルで、国公立進学クラスに在籍した高校時代はオール5も記録。甲子園やインターハイの活躍選手も落ちることが少なくない慶大の総合型入試(旧AO入試)で見事合格を勝ち取り、在学中に五輪金メダリストになった。「THE ANSWER」のインタビューで文武両道の目覚め、慶大受験の経験などについて語った。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

フェンシング・飯村一輝が貫いてきた文武両道の礎とは【写真:落合直哉】
フェンシング・飯村一輝が貫いてきた文武両道の礎とは【写真:落合直哉】

日本代表だった高校時代はオール5、遠征翌日のテストも高得点で同級生驚き

 スポーツ界も「文武両道」というフレーズが飛び交うようになって久しい。パリ五輪のフェンシング男子フルーレ団体金メダルに貢献した21歳・飯村一輝(セイコー)は、それを今、最も高い次元で体現するアスリートの一人だ。現役の慶大3年生。フェンシング五輪メダリスト・太田雄貴を育てた父・栄彦さんの指導で15歳にして日本代表入りして国際舞台で活躍する傍ら、幼稚園から始めた児童向け学習塾で3学年上の学習内容をこなし、遠征の隙間時間を縫った勉強スタイルで、国公立進学クラスに在籍した高校時代はオール5も記録。甲子園やインターハイの活躍選手も落ちることが少なくない慶大の総合型入試(旧AO入試)で見事合格を勝ち取り、在学中に五輪金メダリストになった。「THE ANSWER」のインタビューで文武両道の目覚め、慶大受験の経験などについて語った。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

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 ◇ ◇ ◇

 福沢諭吉が伝えた「ペンは剣よりも強し」がモットーたる慶應義塾大学が飯村一輝の学び舎だ。

「小さい頃から周りが勉強や受験を大切にする環境で育ち、『負けたくない、フェンシングを言い訳にしたくない』が一番にありました。テストの点数が悪くても『フェンシングしているからね』と(同情的に)言われると、自分の好きなものを馬鹿にされている感じがして。中学・高校も『こんなに頭良いヤツらに遠征に行きながら勝ったらヤバくない?』みたいな設定を自分で作って、文武両道を楽しんでこられたと思います」

 もともと「勉強が嫌いじゃなかった」という。きっかけは幼稚園から始めた学習塾。地元・京都の私立小学校・京都女子大附属で中学受験対策の学習塾に切り替える4年生まで没頭した。「(文字を)なぞる課題から始まり、国語・算数・英語までやりました」と振り返る。

「3学年先の内容まで進むと、トロフィーのようなものがもらえるのがすごく嬉しくて。妹と何個集められるか勝負して、国語・算数・英語の3科目すべて進みました。やったことが目に見えてわかる形で褒めてもらえる。餌で釣られると、食い付いてしまうタイプ。フェンシングも、父から自分が好きだった炭酸ジュースを買ってあげると言われて始めたので(笑)。成果報酬型の環境にいて、自分には性に合っていたので、勉強嫌いにならなかったのかな」

 京都女子大附属小は灘を筆頭に、洛南、洛星、東大寺学園、西大和学園など、大半が関西の難関中を目指す環境。飯村は地元で少ないフェンシング部があり、父の栄彦さん、そして父の教え子である太田雄貴の出身校・龍谷大平安中を志望した。ただし、家族から課された条件が一つ。「特待生じゃないと入学を認めない」だ。

「それには洛星中に入学するくらいの学力がいる。6年生から『洛西特訓』に通って、週末は全潰れでした。特待を取らせようとベクトルを向けてくれたのは母。CAの仕事をしていて、語学が堪能。『フェンシングばっかりじゃ駄目だよ。勉強しなさい』と2つを両立するきっかけ作りも小さい時にしてくれました」

慶大在学中に出場したパリ五輪では団体金メダルを獲得した【写真:Getty Images】
慶大在学中に出場したパリ五輪では団体金メダルを獲得した【写真:Getty Images】

 ちなみに、小学1年生で始めたフェンシングは4年生と6年生で全国大会優勝。6年生で初めて出場した国際大会に優勝し、この時点で「将来は五輪に出る」と決意。小学6年間で文武両道の礎が築かれた。中学・高校と学業優秀を維持。国公立進学コースに在籍した高校の評定は、高1は「4.8」、高2はオール5、高3は「4.7」だ。

 全国共通テスト受験で難関大を目指すクラスメートと切磋琢磨。放課後になると、周りは受験対策のクラスでまたペンを握り、すでに日本代表だった飯村だけは剣を握った。しかし、代表遠征から帰ってきた翌日にテストがあっても点数は負けない。快感は「アイツ、どうやって勉強してるんだ」と驚く声。

「もちろん、授業1回で全吸収しようというモチベーションはあります。ただ、現実的には難しい。テスト前は例えば国語・数学・英語の順番で試験があったら、それに合わせた順番で勉強し、頭を切り替える練習をしたし、遠征中の飛行機など隙間時間で勉強もした。高2でオール5が取れたのはコロナで遠征がなくなり、勉強時間がたくさんできたから。当時はチェックリストを作って、古文、英文法、英和訳の単語帳を用意し、全部リスト化して『正』の字で回数をつけてやっていました」

「競技も勉強も目標を明確化し、計画性を持ってこなしていくことが好き」という文武両道フェンサーが大学を目指したのは自然な流れ。パリ五輪の星として期待され、スポーツ推薦のある早大やMARCH(明大、青学大、立大、中大、法大)から声がかかったが、選んだのは別の道。慶大総合政策学部の総合型選抜入試を選択した。

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