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「Jのない県」からJを目指して― ある地方クラブの奮闘記「ホームゲームの1日」

サッカーの存在は身近になっても、意外と知られていないクラブの舞台裏。誰がどんな思いを持って、支えているのか。「THE ANSWER」の連載「『Jのない県』からJを目指して―ある地方クラブの奮闘記」は、元スポーツ紙記者の奈良クラブスタッフ・山川達也さんが地方クラブのリアルな実情を毎月紹介する。第3回は「とあるホームゲームの1日」。

J3昇格の正念場を迎える奈良クラブ【写真:奈良クラブ】
J3昇格の正念場を迎える奈良クラブ【写真:奈良クラブ】

JFL奈良クラブの“中の人”が「サッカークラブのリアル」をレポートする連載

 サッカーの存在は身近になっても、意外と知られていないクラブの舞台裏。誰がどんな思いを持って、支えているのか。「THE ANSWER」の連載「『Jのない県』からJを目指して―ある地方クラブの奮闘記」は、元スポーツ紙記者の奈良クラブスタッフ・山川達也さんが地方クラブのリアルな実情を毎月紹介する。第3回は「とあるホームゲームの1日」。

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 ◇ ◇ ◇

 9月を迎え、日本のサッカーシーズンはクライマックスに向けて大きな盛り上がりを見せている。奈良クラブが所属する日本フットボールリーグ(JFL)も残り10節。J3昇格条件となる4位以内(かつJリーグ百年構想クラブのうち上位2位)を目指す奈良クラブにとっては気が抜けない重要な試合が続く。9月の2試合で今季初の連勝を挙げた勢いのまま、終盤戦に突入できればと願うばかりだ。さて今回は、サッカークラブにとっての最も重要な業務ともいえるホームゲームについてお話したい。試合開催日、クラブスタッフはどこで何をしているのか。いかにホームゲームは運営されているのか。知っているようで知らない試合日の1日を、特徴的な数字を交えながらお届けしたい。

「47」

 1日と言ったが、設営作業は前日から始まる。一番の大仕事は、クラブを支えてくださるパートナー(スポンサー)の看板や横断幕を、スタジアムの至る所に掲出することだ。奈良クラブが主にホームゲームで使用する「ならでんフィールド」は陸上競技場。陸上競技に使用するトラック部分を利用し、多数の看板を設置。またスタンドの手すりなどに横断幕を設置していく。その数、「47」。たくさんの企業や人々に支えられているのを実感する瞬間だ。47の看板や横断幕の他にも、担架や得点ボード、ベンチ裏など様々な場所にパートナー企業の名前が記載されている。ほかにもロゴと企業名が入った100を超える数ののぼりをスタジアムの内外に並べていく。無数の企業ロゴに見守られ、無機質なスタジアムは戦う場所となっていくのだ。

「23」

 15時キックオフの試合の場合、9時(試合開始6時間前)から設営ミーティングがはじまる。やらなければならないことは無数にある。ゴールやコーナーポストなどピッチ上の準備。記者会見室や運営本部などスタジアム内の諸室の準備。各イベントブースなどスタジアム外の準備。こういった準備を十数人のフロントスタッフだけで乗り切るのは不可能に近い。そこでボランティアスタッフの力が大きな意味を持ってくる。奈良クラブのホームゲームでは平均「23」人ほどのボランティアスタッフが運営を手助けてしてくれている。下は高校・大学生から上は70代の方まで、年齢層は幅広く、パートナー企業から手伝いにきてくれた方や、遠い県外から駆けつけてくれる方もいる。

多くのパートナーに支えられてホームゲームを運営している【写真:奈良クラブ】
多くのパートナーに支えられてホームゲームを運営している【写真:奈良クラブ】

 仕事内容は多岐にわたる。前述の設営準備はもちろん、VIP受付やグッズ販売、ゴミステーションの管理、チケットもぎりなどどれも運営に欠かせない仕事ばかりだ。クラブ毎にその内容は変動すると思うが、下位カテゴリーになればなるほど、その重要度は高くなるのは間違いない。また試合のない日には、奈良クラブのジュニアやジュニアユース、バモス(知的障がい者チーム)などの選手も試合のない日には運営を補助してくれる。多くのボランティアスタッフの協力なくして、地域クラブのホームゲームは成り立たないといえる。

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