「ARK LEAGUE」内野洋平を惹きつけた寒川の熱意「気合の入り方が違うんです」
BMX屋内練習場は「人と人をつなぐ、そんな場所にしたいですね」
「日本にBMXフラットランドの屋内練習場ってないんですよ。雨が降ったり、風が強かったら、自転車に乗れない。これは選手にとってすごくストレスになる。『ARK LEAGUE』本番と同じステージを持つ屋内練習場だけに、九州や四国からわざわざ練習しに来るくらいです。となると、大会当日には寒川が“初めまして”の町ではなくて、2度目ましてか3度目ましてになる人が増えるし、町の方々にも気軽に練習見学に立ち寄ってもらえる。子供たちには12インチから18インチの自転車を無料貸し出ししています。人と人をつなぐ、そんな場所にしたいですね」
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町民の多くは高齢者のため、当初は、若者の大会に町が3000万円を費やすことへの反応を心配する声もあったという。だが、いざ開催が正式発表されると、聞こえてくるのは「よくやった」「よくこの小さな町に世界大会を呼んだ」という声ばかり。クレームの電話はゼロだった。
実際、すでに効果は表れている。「ARK LEAGUE」の開催発表以来、寒川町の名前がメディアを賑わす機会は急増。反響の大きさに町は大喜びで、まだ本番前だというのに、内野はすでに来年の開催を打診されているという。「FLAT PARK」の建て直しや屋内スケートパーク、ブレイキン用スタジオの建設計画が飛び出すなど、ストリートスポーツの町として盛り上がろうという機運が上昇。「1回目を開催してみないと、寒川にどれだけ還元できるのか分かりませんし」と苦笑いする内野だが、町内の至る場所で「楽しみにしてます」と声を掛けられ、期待を肌で感じるたびに「めちゃくちゃうれしいですよ」と声を弾ませる。
「もちろん、1回で終わりというのは考えてはいません。出会いがあり、応援態勢があり、ここまで来た。来年の開催も毎日のように口説かれて……(笑)。うれしいですね。だって、話をしている人が同世代ではなくて、何だったら自分の親の世代の方々に、ここまで分かってもらえるんですから。ストリートスポーツに偏見を持つ人は、いまだにいますから。
驚かされたこともあります。町役場の入り口に壊れた花時計があるんですけど、そこが傾斜になっていてスケートボードで滑りたくなる格好の場所。なので、海外の選手がバンバン滑る前に対策を立てた方がいいですよって町に言ったら、『花時計には寒川って名前が書いてあるので、逆に滑ってもらった方が露出が増えるのでいい。大丈夫ですよ』って(笑)。さらに、大会会場にある体育館の壁にプロジェクションマッピングみたいに映像を当てる予定なんですけど、街灯が1本立っていて少し影ができるんですよ。ま、しょうがないなって、僕たちはそのまま予定していたら、役場の方が『この街灯、すごく邪魔ですよね? 切ることに決定しましたから』って。寒川は気合の入り方が違うんですよ(笑)」