「2人で1つ」として戦うスポーツの尊さ 結成11年、一心同体で“最適解”を探るペア種目の精神――バドミントン・福島由紀
フクヒロとして到達した一心同体の境地
パリ五輪を目指した長い戦いを終えた今、福島は改めて言う。
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「廣田がいなければ、ここまできていません。もしかしたら、バドミントンをやめていたかもしれない」
ペアを組み、世界トップレベルで戦ってきたからこそ、バドミントンというスポーツが持つ奥深さに触れることができた。11年間共闘した廣田との関係を「一心同体」と表現した言葉の裏には、ダブルスを主戦場に夢中で駆け抜けてきた日々への、さまざまな想いが去来しているように見えた。
そんな福島は、五輪開催地パリから約9600キロ、所属チームの拠点がある岐阜で仲間たちと新たな一歩を踏み出している。
「毎日が楽しいですし、充実しています。物足りなさも少しだけありますけど……」と本音もわずかに覗かせながら、「7月や8月は時間があるので、しっかりとプレーできる体を作って、9月の試合に向けて準備したい」と意気込む。その表情からは五輪出場を逃したからといって、“何のためにコートに立つのか”などと自問自答するような素振りは一切感じられない。
誰よりもバドミントンに純粋な心で向き合ってきた福島は、これからもダブルスの戦いのなかに身を投じるつもりだ。たとえ2人の意見が食い違うことがあっても、コートに立てば勝利という共通の目標を目指し、力を1つに合わせて“最適解”を探る。フクヒロペアでそうしてきたように、お互いが足りないものを補い合いながら、一心同体になって挑戦を続けていく。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)