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「2人で1つ」として戦うスポーツの尊さ 結成11年、一心同体で“最適解”を探るペア種目の精神――バドミントン・福島由紀

一心同体でプレーする競技で育まれたものとは【写真:Getty Images】
一心同体でプレーする競技で育まれたものとは【写真:Getty Images】

ダブルスを戦い、身につけられた感覚

 もともとはシングルスプレーヤーだが、あくまでもダブルスにこだわった。自分に足りない部分を伸ばしてくれる競技性に惹かれたからだ。

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「最初はかなり難しかったですね。1人で戦うのと違ってコミュニケーションを取らないといけませんし、2人で作戦を立てないといけない。そこはかなり苦労しました。でも2人でやっているからこそ、成長できたこともたくさんある。人と人なので、もちろんプレーに関して意見が食い違う時もあるし、考えていることも違う。そうしたなかで同じ目標に2人で向かっていく時に、自分の意見だけを押し通すのではなく、相手の視点からも物事を考え、最適な方法を見つけていく感覚を身につけられたように感じています」

 元来、他人とのコミュニケーションが得意というわけではない。だから想像力を働かせた。コートの外では監督やコーチといったスタッフがいても、コートの中では2人きり。大切にしたのは「自分が良ければいいというわけではない」。あくまでも2人で1つ。まず心が合わさっていないと上は目指せない。

 覚悟を決めた瞬間がある。

「ペアを結成してから、結果はちょこちょこ出ていたかもしれません。でも、実際にはそんなに自信もなかったし、周りに引っ張られて、お尻を叩かれて、ようやく戦っていたのが最初の数年でした。言葉では『五輪を目指す』と言っていたけど、本心では半信半疑な部分があった。たぶんアバウトだったんです、当時は。覚悟が足りなかった。

 変わったのは、2016年だと思います。リオ五輪で高橋礼華さんと松友美佐紀さんの『タカマツペア』が金メダルを獲った頃の話です。その少し前の試合で私たちのペアもいいゲームができていて、スタッフに『福島と廣田にもできるよ』と声をかけられました。そこからは明確に五輪を目指す方向にシフトチェンジしました。そうしたら2017年からA代表に入れて、ようやくスタートした感覚です」

 それ以降、フクヒロペアとしてたくさんの歓喜と感動を届けてきた。そして幾度となく訪れた試練や挫折が、彼女たちのドラマをさらに密度の濃いものにしていく。

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