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川島永嗣に今、問いたい 「やりたい子がいないから」で決める日本のGKとこれから

川島は「日本人らしさ」を世界の舞台で表現することの重要性を説く【写真:松橋晶子】
川島は「日本人らしさ」を世界の舞台で表現することの重要性を説く【写真:松橋晶子】

課題となるGK強化、今問いたい「GKの醍醐味って何ですか」

 海外で長年、プレーしてきた川島は「日本人らしさ」について「緻密さ、繊細さ」と考えるが、大事なことは「それを世界基準の中でできなければ、意味がない」と言う。「どれだけダイナミックな形で、表現できるかというのが本当の意味での日本らしさ。そこを自分たちは目指していかなければいけないことだと思います」と語った。

 川島にとって10年南アフリカ大会に続き、2度目の16強進出。同じ結果であっても、内容は違ったという。

「自分がどう思うかは正直、考えてない。チームを見渡した時、あの時と今回の16強は全く違うものだった。それは1次リーグを突破した時の心意気、志、雰囲気を見ていると、今回は『W杯はここからだ』というものがチーム全体に凄くあった。その点において、16強という結果は同じでも大きな差があると思います」

 嬉しさも悔しさも味わった今大会。上位進出国には絶対的な守護神が君臨し、例年以上にGKの存在がクローズアップされる大会となった。FWは10本中9本ミスをしても1本でゴールを決めれば称えられる。しかし、GKは9本ファインセーブをしても1本ミスをすれば責められるポジション。日本サッカーにとってもGKの裾野を広げることが不可欠となる。

 だから敢えて今、日本の守護神に問いたい。GKの醍醐味とは何か。

「GKは一つのミスがそのまま失点に直結してしまう。(守備陣の)最後のプレーヤーなので、いろんな責任を背負わないといけない部分もある。でも、一本のセーブでゲームの流れを変えられたり、試合を勝利に導くことができたりするのは最大の喜びだと思うし、背負っている以上のものがついてくるのがGKの醍醐味なんだと思います」

 自身がGKになったきっかけも単純な動機だった。「シュートを止めるのが楽しい」――。その感情ひとつだけ。「小さい頃、友達と家の前でサッカーをやっていた時もコンクリートの上でシュートを止めるのが大好きだった。それが同じような感じで今も続けています」と明かす。GKならではの特徴もある。

「ポジション柄、味方と離れているし、孤独なポジション。周りと感情を共有できない部分もあるし、それでも戦っていかなきゃいけない。だから、GK同士は仲が良かったりする。色々なことを考えさせられる場所で、他のGKを見ても同じように俯瞰的に物事を見ているなとGKだから感じることある。代表の東口、中村と話していてもそう。GKだからこそ感じる人生観もあるのかなと」

 フィールドの最後尾に位置し、味方がゴールを決めた後も一緒に喜ぶことはない。自身がW杯で最も印象に残ったベルギー戦の2-0の瞬間ですら「GKはそんなに喜んでいられない。2-0になった時点で、どうキープしなきゃいけないかに頭は切り替わっていたので、他のことを考えている余裕はなかった」と振り返る。それもGKが背負っているものの大きさゆえだ。

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